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工学院大学附属中学校・高等学校の教育がすごい [最新教育事例]

工学院大学附属中学校・高等学校の教育はまさに最先端教育の実践の名にふさわしいと感じ、知れば知るほど刺激を受けています。

①グローバル&サイエンス教育
・社会、理科の授業では、海外でおきている最新情報などを積極的に取り入れ、英語をツールとして用いることを習慣化。
・「ハイブリッドインターナショナルコース」では、ネイティブスピーカーの教員が英語・数学・理科の授業を英語で行い、入学時から英語のシャワーを浴びる「イマージョン教育」によってリスニングの基礎を固め、美しい発音を身につける。

②21世紀型授業
・PIL(Peer Instruction Lecture)生徒と先生が相互方向に行う対話型授業。
・PBL(Project Based learning)問題解決型授業。
⇒知識の活用力や主体性、コミュニケーション力といった実社会で必要な力を育てる。

③思考コードの導入スタート
【横軸】
Knowledge(知識)
Application(応用・適用)
Full use(フル活用)
【縦軸】
Learning(学習)
Critical Thinking(批判的思考)
Design&Action(創造・行動)
・3×3のマトリクスで生徒の学習到達度を評価

工学院大学附属中学校は他にもICT利用や「デザイン思考」の授業など興味深い取り組みを他に先駆けて行っています。教師の研修体制も気になるところ。今後も注目して、私自身の実践に活かしていきます。

【参考】
工学院大学附属中学校・高等学校
日本初のハイブリッドインターナショナルクラスを始動した“21...
私立学校研究 (c) ホンマノオト
未来の「教える」をどうデザインする?──工学院大学附属中学校・高橋一也さんの取り組み(前編)
工学院 ミネルバ大学もうなるSGT教師陣

世界で大活躍できる13歳からの学び

世界で大活躍できる13歳からの学び

  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2016/10/28
  • メディア: Kindle版



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機械的反復では長期記憶に残らない [記憶力強化]

「改訂版タキソンミー」における教育目標・評価論に関する一考察という記事に、興味深い内容があったので引用します。

~以下引用(一部要約)~
ノヴァックは,オースベル(D.P.Ausubel)の理論に依拠し,「有意味学習(meaningful leaming)」をめざした実践的研究を進めている。学習内容の長期的な保持と他の場面への転移の両方を実現するような効果的な学習は,機械的な反復練習によって達成されるのではないし,探究活動をしさえすれば成立するものでもない。それは,子どもが自らの既有知識と関連させて,新たに学ぶ知識の意味を構成する有意味学習によってこそ可能になる。つまり,効果的な学習を引き起こすには,内的な知識構造への着目が不可欠だというのである。

ノヴァックは、子どもの内面で生起している概念理解の変化を捉える方法として,「概念地図法(conceptmapping)」という方法を考案(内的に表象されている意味のネットワークを外的に表
現する方法)。

~以上引用~

反復というと、通常以下の流れをイメージすると思います。
「解く→丸付け→(間違えたら)解説確認or質問→理解→解き直し」
しかし、上記の理論だと、この一見正しそうな勉強のやり方で反復しても成果につながらないことを表しています。理解のあとに「自分の頭で既知の内容を組み込んで情報を再構成する事」この作業をしなければ、長期の記憶に残らない。つまり成果につながらないという事です。

ノヴァックは「概念地図法」という方法論を提示していますが、間違えた問題に対しては、最低限「自分が何を知らなかったから間違えたのか?」「この問題のポイントは何か?」という問いに対して、簡単にでもいいので、言語化あるいは図表化して視覚化する事が効果的と言えそうです。

【参考】
「改訂版タキソンミー」における教育目標・評価論に関する一考察


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ARCS動機付けモデル [指導技術]

ARCS動機付けモデルは、生徒の学習意欲を高めるための一つの指針として効果を発揮しそうです。
【ARCS動機付けモデル概要】
アメリカの教育工学者ジョン・M・ケラー(John M. Keller)によって開発された理論。「学習意欲を刺激、持続させるために、授業をどう設計すべきか」という問いに答えることを目的とした理論。
(動機付けの4因子)
1.注意(Attention)「面白そう!!何かありそう!!」
2.関連性(Relevance)「自分に関係がありそう!!」
3.自信(Confidence)「やればできそう!!」
4.満足感(Satisfaction)「やってよかった!!」
・重要なのは、これらを指導の中で段階的に行う必要があるということ。
・満足感はさらなる発展的内容への動機付け。
・満足感はある程度上位レベルの教育目標を達成してから与えないと、探究心を抑制する恐れもある。

【教授方法への具体的な落とし込み】
1.注意
(知覚的喚起)オープニングでひと工夫し注意を引いているか。
(探究心の喚起)エピソード等を混ぜて、教材内容が奥深い事を伝えているか。
(変化性)飽きる前にブレイクをはさんでいるか。
2.関連性
(親しみやすさ)生徒の関心、今までに習ったことと関連付けているか。
(目的指向性)習ったことが何に活かせるのかを提示しているか。
(動機との一致)勉強自体を楽しめる工夫をしているか。
3.自信
(学習要求)ゴールを明示し、どこに向かって努力しているかを意識させているか。
(成功の機会)他人との比較ではなく、過去の自分との比較で進歩を確かめられるようにしているか。
(コントロールの個人化)身につけ方のアドバイスを伝え、それを参考に自分独自のやり方でもいいことを伝えているか。
4.満足感
(自然の結果) 身につけたことを活かすチャンスを与えているか。
(肯定的な結果)褒める言葉や認定証を渡しているか。
(公平さ)えこひいきがなく、約束は守るなどの首尾一貫した態度をとっているか。

「教材内容の奥深さを、生徒の注意を引く形で伝える」「今まで学んだこととの関連性を伝える」。講師自身の追求力が、直接子ども達の動機付けにつながる事を強く感じます。

【参考】
教職課程「教育工学」テキスト
ARCSモデルに学ぶ(1)
ARCS動機づけモデルの応用
ARCS 動機づけモデルを使って学生の学習意欲を高めよう!


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「なぜ?」を無くす事ではなく、「なぜ?」を増やす事が勉強 [思考力を鍛える]

知識を増やすためには、反復は不可欠ですが、成績上昇のためには思考力を鍛える事は不可欠です。「思考力を鍛えるにはどうすればいいのか?」「思考力を鍛える授業とは?」。子ども達の思考力を鍛えるために、まずは書籍中心に学んでいきます。今日参考にするのは、永野裕之氏の書籍です。

東大教授の父が教えてくれた頭がよくなる勉強法

東大教授の父が教えてくれた頭がよくなる勉強法

  • 作者: 永野 裕之
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/12/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


①覚える力より考える力
・「教育とは、学校で習ったことをすべて忘れたあとになお残るものだ」(アインシュタイン)
・学校で習ったことは「知識(knowledge)」。「なお残るもの」とは「知恵(wisdom)」のこと。
・「知識」は一生懸命覚えてもやがて忘れてしまう。「知恵」は一度手に入れたら忘れたくても忘れられない。

②「知恵」を手に入れるために
・教科書に載っている定理や公式を自らの手で証明する
・「ある真実を教える事よりも、真実を見出すにはどうしなければいけないかを教える事の方が重要である」(ルソー)
・「知恵」の本質はそれぞれの定理や公式が導かれたプロセス。
・プロセスに目を向けて賢人たちの発想法、考え方に触れているとやがて自分も同じように考えたり、工夫したりすることができるようになる。

③本質にたどりつく最短思考法
・「落ちこぼれ」が、トップクラスの成績を取るようになるまでに必ず「質問をするようになる」という段階を通る。
・「質問がありません」は「何も考えていない」とほぼ同じ意味。
・「なぜ?」と疑問を持てば自然にプロセスに注目するようになり、結果として知恵が手に入る。
・常に「なぜ?」と思いながら勉強する姿勢こそが本質にたどり着く最短の思考法。
「なぜ?」が増えない勉強は単なる知識の詰め込み。「なぜ?」が増えることが勉強。

④熟考のすすめ
・「わからない問題はすぐに解答を見ましょう。そしてやり方を見ましょう」という勉強は言語道断。
・苦労せずに手に入れたものは簡単に失われる。
・脳が鍛えられるのは、脳に「負荷」がかかってる時だけ。
・「脳力」が高まるのは、何かを理解した時ではなく、「なぜだろう?」と考えるとき。
・即答よりも熟考する勇気と時間を持つ事が大切。

⑤俯瞰する力・抽象化する力
・「問題をやる→できない→解答を読む→解きなおす→次の問題」ではできるようにならない。
・「なぜ自分はできなかったのか?」という視点がなければできるようにならない。
・「黙してこれを織し、学びて厭わず、人に言われてやな事もない。(孔子)」
(黙って聞いて物事を知り、学ぶことに飽きず、人に教えて嫌になることもない)
⇒「聞く⇒見る⇒教える」の3ステップが学びの基本姿勢。
・今日学んだことノートを記入させる。

【実践方針】
①パターン暗記中心の勉強は短期的な点数上昇にはつながりますが、すぐに行き詰まってしまう生徒を多く見てきました。成績上昇のためには、「なんで?追求」がキーワードになりそうです。
②「定理・公式の証明=賢人の思考プロセスを辿る事」という認識は生徒の意欲換気にもつながりそうです。「賢人の思考を辿る」「賢人に同化する(なりきる)」というのも思考力を鍛える事につながりそうです。
③「「なぜ?」を無くす事ではなく、「なぜ?」が増えることが勉強」という認識は、生徒の認識を180度転換して、質問(思考する機会)が増える事につながりそうです。
④間違い直しの際に、「なぜ自分はできなかったのか?」という視点を取り入れること。即生徒に伝えていきます。
⑤私の教室では、1日の最後に、今日の授業のポイントを5分間で記入してもらっています。授業のポイントを自分の言葉で再現することの重要性を再度伝えていきます。


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学びの地図ver.2.2 [学びの地図]

【更新内容】
①授業力強化を指導技術と探究心の喚起に分解。探究心の喚起は教務内容に関する「なんで?」で、主に生徒からの質問が中心。
②勉強法の追求過程で、細分化の必要を感じたため、勉強法を5つの項目に分類。

A.教務力
 ①授業力強化
  1.指導技術
  2.探究心の喚起
 ②対話力強化
  1.効果的な声かけ
  2.保護者面談
 ③勉強法
  1.勉強の効率化
  2.思考力を鍛える
  3.勉強の動機付け
  4.記憶力強化
  5.習慣化の技術
 ④教育事例研究
  1.海外教育事例
  2.最新教育事例

B.営業力
 ①マーケティング
 ②セールス

C.統合力
 ①リーダーシップ
 ②ミーティング運営

教務成果が営業成果の土台。教務成果と営業成果を最大化するためには、教室スタッフを巻き込む統合力が求められます。今後も地域の皆様の期待に応えられるよう学びと実践を継続していきます。

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「勉強法」関連図書一覧 [勉強の効率化]

学習塾である以上、定期テストや入試で成果を出す事は必須です。しかし、長時間の詰め込み型の勉強ではなく、知識習得はできる限り効率的にして、問題解決型の思考をする時間を確保してあげたい。そのためにも、「効率的な勉強法」を追求していきます。勉強法に関する関連図書一覧です。

東大教授の父が教えてくれた頭がよくなる勉強法

東大教授の父が教えてくれた頭がよくなる勉強法

  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/12/15
  • メディア: Kindle版



日本人が一生使える勉強法 (PHP新書)

日本人が一生使える勉強法 (PHP新書)

  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2014/08/12
  • メディア: Kindle版



一生モノの勉強法

一生モノの勉強法

  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2009/04/16
  • メディア: Kindle版



灘高→東大合格率ナンバーワン 伝説の入江塾は、何を教えたか

灘高→東大合格率ナンバーワン 伝説の入江塾は、何を教えたか

  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2015/11/10
  • メディア: Kindle版



合格る思考

合格る思考

  • 出版社/メーカー: すばる舎
  • 発売日: 2014/07/26
  • メディア: Kindle版



合格(ウカ)る技術

合格(ウカ)る技術

  • 作者: 宇都出雅巳
  • 出版社/メーカー: すばる舎
  • 発売日: 2011/02/22
  • メディア: 単行本



得点力を鍛える―「やらないこと」を決めて努力を最適化する技術

得点力を鍛える―「やらないこと」を決めて努力を最適化する技術

  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2012/12/06
  • メディア: Kindle版



頭がよくなる勉強法はどっち?

頭がよくなる勉強法はどっち?

  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2015/06/18
  • メディア: Kindle版



図解 超高速勉強法―「速さ」は「努力」にまさる!

図解 超高速勉強法―「速さ」は「努力」にまさる!

  • 作者: 椋木 修三
  • 出版社/メーカー: 経済界
  • 発売日: 2004/11/01
  • メディア: 単行本



東大家庭教師が教える 頭が良くなる勉強法 (中経の文庫)

東大家庭教師が教える 頭が良くなる勉強法 (中経の文庫)

  • 作者: 吉永 賢一
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2013/03/23
  • メディア: 文庫



東大家庭教師の 頭が良くなる思考法 (中経の文庫)

東大家庭教師の 頭が良くなる思考法 (中経の文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
  • 発売日: 2015/08/28
  • メディア: Kindle版



地アタマを鍛える知的勉強法 (講談社現代新書)

地アタマを鍛える知的勉強法 (講談社現代新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/12/17
  • メディア: 新書


勉強法に関しては「効率化」「思考力強化」「関連化」等がキーワードになりそうです。今後の追求の中でカテゴライズしていきます。

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STEM(STEAM)教育~AI時代を生き抜く力を身につける~ [最新教育事例]

人工知能に使われるのではなく、使う側になるための能力として、「STEM」あるいは「STEM教育」という言葉が頻繁に使われるようになっています。
Science(科学)
Technology(技術)
Engineering(工学)
Mathematics(数学)
また、この頭文字にArt(芸術)を加えた「STEAM」という言葉も使われるようになっているようです。個人的には、「STEAM」の方が、今後必要な能力としてはしっくりきます。「STEAM」を身につけるにはどうすればいいのか?どのような取り組みがなされているのか?を調べてみました。

【STEMが注目されるようになった背景】
・2012年のPISA(OECDの生徒の学習到達度調査)でアメリカのランキングが低迷(数学的リテラシー36位・科学的リテラシー28位・読解力24位)。オバマ大統領がSTEM教育に力を入れるように。
・IT人材の需要の増加(システムエンジニアは高収入に)。行動なスキルを持ったIT人材は慢性的に不足。人工知能・ロボットが普及していく近未来では、さらに不足すると考えられる。
・2013年9月。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授は2013年当時から10~20年の間に、アメリカの総雇用者の約47%の仕事が機械に代替されると予測。2015年12月野村総合研究所が10~20年後日本の労働人口の約49%がAIやロボットなどに代替されると予測。⇒STEMを学習することで、AIを使う側を目指す事が必要に。

【STEM学習】
・まずは最先端テクノロジーに実際に触れる(ドローン・VR・3Dプリンター等)。
・わからない事があったらコンピューターを使って調べる(google・YouTube・Siri・Cortana等)
・実体験して、実感してから理解する。

今回、主に参考にした書籍の著者である、成毛眞氏も、神野元基氏も、まずはテクノロジーに触れる機会(実体験)を重視しています。そして、実体験と数学や理科の学習との関係性・繋がりを伝える事を重要視しています。保護者にとって、今までゲームやスマホは有害なものという認識が優勢だったと思いますが、積極的な利用を推奨するのが常識になる日も近いかもしれません。また、豊かな実体験を積ませるためにも、知識習得型の学習はできる限り効率的にしていく必要があると思います。もしかしたら、制限すべきはゲームではなく、勉強時間の方なのかもしれません。

【参考図書】

AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である (SB新書)

AI時代の人生戦略 「STEAM」が最強の武器である (SB新書)

  • 作者: 成毛 眞
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/01/06
  • メディア: 新書



人工知能時代を生き抜く子どもの育て方

人工知能時代を生き抜く子どもの育て方

  • 作者: 神野 元基
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2017/04/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に

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福沢諭吉の学び~問題解決力の土台は知識の習得~ [最新教育事例]

齋藤孝氏は、「アクティブラーニング」「問題解決型学習」という言葉・形式だけが先行し、従来の「伝統的な教育」の優れた点が軽視される事を危惧しています。福沢諭吉の学習遍歴を例にして、「問題解決型学習」と「伝統的教育」の両立を提唱しています。

【福沢諭吉の理念】
・西洋諸国の文明を学び、実学を重んじた。
・科学を中心として、実際に役に立つ学問を強調した。
・知見や知識は相互に交換されることによって、価値が高まる。グループディスカッションやプレゼンテーションの重要性を提唱。
・慶應義塾大学のカリキュラムでは洋書を原書で読めるようになることを柱として挙げている(原書を読むことができれば、進んだ学問を自分で学ぶことができる)。
・「学問の要は活用にあるのみ。活用なき学問は無学に等しい」

【福沢諭吉の学習遍歴】
・「孟子」の素読。
・「左伝(春秋左氏伝)」を全十五巻通読し十一回読み返し、面白いところを暗記していた。
・緒方洪庵の適塾でオランダ語を修行

【適塾の特徴】
・オランダ語の試験があり、徹底的に読む訓練。
・読解するという地味な勉強をひたすら何年も続ける。
・月に6回の試験で、オランダ語を読む力があるかないかが明確な基準ではかられ、順位がつけられる。
・洪庵は上級の学生に時折話をする程度。塾生の勉強のほとんどは、塾生同士の自主的な学習に任されていた。
・入塾した初心者は、先輩から文法を教わる。
・10人~15人程度の集まりの「会読」に参加。当てられた箇所を日本語に訳す。「会頭」というリーダーがそれを評価。
・「会読」は月に6回ほど。この6回が厳しい試験に当たっている。
・塾のレベルわけは7~8級程度。級が上がるには、自分がいる級で一番の席を3ヶ月占めている必要がある。
・「会読」のテキスト以外は先輩が後輩に教えてあげる事はあるが、「会読」のテキストに関しては質問することは許されない。
※「切磋琢磨」という言葉通り、お互いに磨き合う関係性、緊張感のある場が形成されていた。

福沢諭吉の事例から、「知識習得(従来型学習)の重要性」「塾の存在意義(切磋琢磨できる場の形成)」「形式ではなく、アクティブに学ぶ事の重要性」などが浮かんできます。

現在、高校の説明会や体験授業でもアクティブラーニングの体験をする学校が増えているようですが、生徒の反応は必ずしも肯定的なものではありません。中身のない議論、目的意識が不鮮明な議論など、形式のみが先行して知識の習得さえも機能しなくなってしまう事は避けたいところです。重要な事はアクティブに学ぶ事。そのためにできる事はなにかを考え、実践し続けます。

【参考】

新しい学力 (岩波新書)

新しい学力 (岩波新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/11/19
  • メディア: 新書



教育力 (岩波新書)

教育力 (岩波新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/01/19
  • メディア: 新書



座右の諭吉 才能より決断 (光文社新書)

座右の諭吉 才能より決断 (光文社新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2004/11/13
  • メディア: 新書



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松下村塾に学ぶ問題解決型学習 [最新教育事例]

齋藤孝氏によると、吉田松陰の松下村塾は、江戸時代末期にすでにアクティブラーニングが実践されていたとの事。最新教育事例ではありませんが、松下村塾について整理します。

【松下村塾の概要】
・安政三年(1865)七月~安政五年(1867)十二月までの二年半、松陰によって運営された。

【塾生】
久坂玄瑞(禁門の変の中心人物)
高杉晋作(奇兵隊を組織して幕府に勝利)
伊藤博文(初代総理大臣)
山縣有朋(元帥陸軍大将)

【吉田松蔭の理念】
・「何のために学問をするのか?」⇒実行が第一(ただの本を読む学者になってはいけない)。
・ただ古典を読むだけでは不十分。現実を見、戦略を考えよ。
・教師と生徒の関係というよりは、ともに学ぶ同士的な関係を重んじていた。
・「飛耳長目(ひじちょうもく」(広く見聞きして情報を集める)

【松下村塾の特徴】
・目指しているたのは一人ひとりを生かす教育。
・教科書は塾生が選択する事も多かった(教師の松陰がよいと思った本をテキストにする事もある)。
・何を学ぶか、どのような教科書で学ぶかが塾生に任されていた。
・出入りが自由。
・来るメンバーや時間もバラバラ。
・松陰は塾生たちの間を移動し、個人指導を行っていた。
・現実の問題に対して、どのような解決策があるかを問うレポート課題も出している(松陰が丁寧なコメントをつける)。
・古典をテキストにして、現在の問題を議論することも(例)「孟子」を引用して日本の問題に引きつけて講義。
・古典と現実の問題を結びつけ、つねに問いかけをし、意識をアクティブにさせていく。
・松陰自身の情熱を伝える事によって、塾生たちの意識自体が活性化。
・天野清三郎(生徒)の松陰に関する証言「怒った事は知らない。人に親切で、誰にでもあっさりとして、丁寧な言葉遣いの人であった。」

問題解決型学習を担う講師にとって重要な事が2点浮かび上がってきます。
①講師自身が現実の問題に答えを出すために、学び、実践している事
②テキストと現実の問題を結びつける問いを投げかける事
上記2点を意識して実践・報告を継続していきます。

【参考】

新しい学力 (岩波新書)

新しい学力 (岩波新書)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/11/19
  • メディア: 新書


吉田松陰.com

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KR情報という認識(生徒発言・行動をやる気につなげるフィードバック) [指導技術]

アイトラッキングカメラを用いた研究から、効果の高い授業スキルとして、以下の項目が挙げられるそうです。

①受講生全体を見渡す
②受講生を氏名で指名する
③机間指導
④KR(Knowledge of Results)

KRという言葉は初めて目にしたので、調べてみました。
意味としては、生徒の反応に対する講師からの正誤判断や励ましの声かけなどの反応と捉えてよさそうです。例えば、生徒の発言に対する相槌(なるほど、うんうん、すごい等)やオウム返しがKR情報に相当するようです。

生徒の発言・反応に対してどのような声かけをできるかが、生徒の集中力、理解度、満足度に大きく影響するのは指導をしている実感としても明らかです。

正答に対する対応・誤答に対する対応・授業中の姿勢に対する褒め等、子どもたちのやる気につながるKR情報の伝達は、重要な指導技術の一つだと考えます。瞬間瞬間にどんな反応を返してあげるか。講師という仕事はまさに即時性の勝負。

授業研修時に、適切なKR情報の伝達ができているか(生徒のやる気につながっているかどうか)?バリエーションを豊富に有しているかどうか?という視点で自己研鑽とフィードバックに活かしていきます。

【参考】
教師は何を見てどう判断しているかー教師視点の映像記録を活用した意思決定過程の研究
「教育実践を語る」服部英雄のブログ
教職課程「教育工学」テキスト(ver.2008)東京工業大学:松田稔樹

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