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福沢諭吉の学び~問題解決力の土台は知識の習得~ [最新教育事例]

齋藤孝氏は、「アクティブラーニング」「問題解決型学習」という言葉・形式だけが先行し、従来の「伝統的な教育」の優れた点が軽視される事を危惧しています。福沢諭吉の学習遍歴を例にして、「問題解決型学習」と「伝統的教育」の両立を提唱しています。

【福沢諭吉の理念】
・西洋諸国の文明を学び、実学を重んじた。
・科学を中心として、実際に役に立つ学問を強調した。
・知見や知識は相互に交換されることによって、価値が高まる。グループディスカッションやプレゼンテーションの重要性を提唱。
・慶應義塾大学のカリキュラムでは洋書を原書で読めるようになることを柱として挙げている(原書を読むことができれば、進んだ学問を自分で学ぶことができる)。
・「学問の要は活用にあるのみ。活用なき学問は無学に等しい」

【福沢諭吉の学習遍歴】
・「孟子」の素読。
・「左伝(春秋左氏伝)」を全十五巻通読し十一回読み返し、面白いところを暗記していた。
・緒方洪庵の適塾でオランダ語を修行

【適塾の特徴】
・オランダ語の試験があり、徹底的に読む訓練。
・読解するという地味な勉強をひたすら何年も続ける。
・月に6回の試験で、オランダ語を読む力があるかないかが明確な基準ではかられ、順位がつけられる。
・洪庵は上級の学生に時折話をする程度。塾生の勉強のほとんどは、塾生同士の自主的な学習に任されていた。
・入塾した初心者は、先輩から文法を教わる。
・10人~15人程度の集まりの「会読」に参加。当てられた箇所を日本語に訳す。「会頭」というリーダーがそれを評価。
・「会読」は月に6回ほど。この6回が厳しい試験に当たっている。
・塾のレベルわけは7~8級程度。級が上がるには、自分がいる級で一番の席を3ヶ月占めている必要がある。
・「会読」のテキスト以外は先輩が後輩に教えてあげる事はあるが、「会読」のテキストに関しては質問することは許されない。
※「切磋琢磨」という言葉通り、お互いに磨き合う関係性、緊張感のある場が形成されていた。

福沢諭吉の事例から、「知識習得(従来型学習)の重要性」「塾の存在意義(切磋琢磨できる場の形成)」「形式ではなく、アクティブに学ぶ事の重要性」などが浮かんできます。

現在、高校の説明会や体験授業でもアクティブラーニングの体験をする学校が増えているようですが、生徒の反応は必ずしも肯定的なものではありません。中身のない議論、目的意識が不鮮明な議論など、形式のみが先行して知識の習得さえも機能しなくなってしまう事は避けたいところです。重要な事はアクティブに学ぶ事。そのためにできる事はなにかを考え、実践し続けます。

【参考】

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