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「ダニング=クルーガー効果」と「成長の意識」のセットで引き上げる [効果的な声かけ]

成績上昇のためには、ドウェック教授が提唱する「成長の意識」を育む事が効果的だと考え、実践していく予定です。一方で、成績が伸び悩む生徒の事を考えると「ダニング=グルーガー効果」という認知バイアスを取り除く事も不可欠だと考えています。

「ダニング=クルーガー効果」と、その認知バイアスを取り除く方法。そして、「成長の意識」と組み合わせた声かけの方法を検討していきっます。

①「ダニング=クルーガー効果」とは
ダニングとクルーガーによる研究で、能力が低い人は、自分を客観的に観察する事ができず、自分を正確に知る事が困難なため、自分を過剰に高く評価してしまうというもの。成績の悪い学生ほど、自分の得点を高く見積もり、テストの成績が良いグループは自分の得点を正確に見積もるか、あるいは若干低く見積もっていたそう。
2012年の研究「Revisiting why incompetents think they're awesome(どうして能力の低い人は自分を高く評価するのか?)」では、次のような能力の低い人の特徴が挙げられているそうです。
・自分の能力が不足していることを正しく認識できない。
・自分の能力がどの程度不足しているかを正しく認識できない。
・他人の能力が正しく認識できない。

②「ダニング=クルーガー効果」の克服方法
論理的な思考や自分自身を客観的に評価するトレーニングを受けると、正しく自己評価する能力が向上し、ダニング=クルーガー効果を克服できる可能性がある。
・自分と他人の成績を比較してみる 。
・周囲の意見を真摯に受け止める。
・客観的なデータを確認する。
また、ダニング=クルーガー効果は、「自分は無知である」という事を知らない、認めないというところから始まるので、「自分はまだ何も知らない」と自らの無知を認める事が克服に繋がる可能性がある。
一方、経験を積むに従って、自他の能力をある程度正確に把握できるようになると、たいていは自分の能力が思ったよりも低いことに気づき、落ち込むことになる。しかし、さらに経験を積むことによって、一旦落ち込んだ自信は回復する事ができる。

③学びの活用
成績が伸び悩む生徒を見ると、質問がないか尋ねても「大丈夫ですと答える(わかったつもりになっている)」あるいは、勉強のやり方の改善をする指示をしても「自分のやり方にこだわる」という場合は多いです。自分のやり方に問題を感じないからこそ、曖昧な理解と非効率なやり方を継続し行き詰まってしまいます。

まずは、自己評価を高く見積もってしまう「ダニング=クルーガー効果」という認知を歪ませる性質が人間にある事を伝え、模試データや成果が出ている生徒の事例を元に、自分の課題点を客観的に言語化する時間を設ける事が効果的だと考えています。

課題点が見つかっても、行動変化と前向きな姿勢に繋がらなければ意味がありません。また、逆に自己評価を低く見積もる生徒が多くいるのも現状です。この場合も、自信のなさから自己評価を低く見積もっていても意味はなく、行動変化につなげる必要があります。

ここで重要になってくるのが、「成長の意識」についての話だと思います。「ダニング=クルーガー効果」によって、自己を客観的に評価し、行動改善する必用を自覚させ、「成長の意識」で、誰でも正しい努力をすれば、成績が伸びる事を伝える事で、成績上昇につなげて上げられると考えています。

参考
・認知バイアスとは?(知育ノート)
・ダニング=クルーガー効果とは認知バイアス?(知育ノート)
・【赤っ恥注意!】能力が低い人ほど自分を高く評価する?(COCORO NEXT)
・自信たっぷりな人は、能力が高いか低いかの両極端(flowthink)
・「成長の意識」を育むにはどうすればいい?

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「成長の意識」を育むにはどうすればいい? [効果的な声かけ]

「使える脳の鍛え方」の7章でキャロル・ドウェック教授の研究事例が紹介していました。

「知能」を褒めると、子供は賢い事が重要なのだというメッセージを受け取る。「努力の大切さ」を強調すれば、子供は素晴らしく変わる。

この文章を読み、ドウェック教授の研究成果を実践で活かせる可能性を感じ、関連記事や動画を調べてみました。

①「成長の意識(成長思考)」を持った子ども達の成果
ドウェック教授の研究では、「成長の意識(自分の知能は自分でコントロールできるという信念)」を持ったクラスの成果事例が紹介されています。例えば、居留地のネイティブアメリカンの生徒たちは、地域で最下位から、1年半後に1位になったそうです。その地域にはシアトルなどの裕福なエリアも含まれていたそうです。

②「成長の意識とは何か?」「どうやって育む事ができるのか?」
「成長の意識」とは、「失敗した時に「まだ学習の途中」と考えられるか」「自分の知能は自分でコントロールできるという信念を持っているか」。

(ニューヨーク私立中学校での実験)
ニューヨーク市立中学校の成績の悪い一年生を対象に、脳のしくみと効果的な学習方法を教えるワークショップを行った。その後、被験者の半数は、記憶に関する講演を聞いたが、もう半数は苦労して学ぶことによって脳がいかに変わるかという説明を受けた。懸命に努力して新しい事を学ぶと、脳が新しいつながりを作り、それが時とともに人を賢くするという内容だった。このグループはまた、知能は生来あるものが自然に発現するのではなく、努力と学習で新たなつながりが形成され、発達するとも教えられた。学年が進むにつれ、その生徒たちは「成長の意識」を持ち、いっそう積極的に学んで、好成績を収めるようになった。

(「成果」を目的にせず、「学ぶ事」を目的にする)
「成果」を目標にすると、無意識に自分の潜在能力を制限する。能力の証明や見せびらかしが目的になり、できる自信のある課題を選び、できる事を見せびらかしたいがために、同じことを何度も繰り返す。「学ぶ事(能力の強化)」を目的にしている人は、常に難しい課題を選び、失敗しても、もっと集中して独創的に練習に励むための有益な情報と捉える。

(「才能」ではなく、「プロセス」を褒める)
「知能」を褒めると、子どもは賢い事が重要なのだというメッセージを受け取る。努力、作戦、集中、忍耐、進歩といった「プロセス」の賞賛が、強くハツラツとした子を生み出す。

③「成長の意識」を持つ生徒と「固定された意識」の生徒の違い
「成長の意識」を持つ生徒と「固定された意識(自分の知能は生まれつき決まっている)」を持つ生徒の違いは「失敗」の捉え方。自分は頭が悪い、失敗したのは能力が足りないせいだ、と捉える人は、手も足も出なくなる。これに対して、失敗したのは「努力が足りなかったから」あるいは「やり方がまずかったから」と考える人は、さらに努力を重ね、違うやり方を試してみる。

「固定された意識」の生徒は、「失敗」した次にはカンニングをしたり、自分がましだと感じるために「自分より劣った人を探す」という結果もある。

④実践への活用
「成長の意識」を育むためには、次のプロセスが重要だと考えています。
1.正しい勉強のやり方を伝える
2.正しいやり方で勉強すれば誰でも必ず成果が出る事を伝える
・「成長の意識」を持ったクラスの成果事例の紹介
・「成長の意識」と「固定した意識」の成果の差を紹介
3.予測される困難と、困難を乗り越えるために努力する事で能力が磨かれることを伝える
・自分の許容範囲外の新しいことや困難を学ぶごとに、脳のニューロンが新しく強い繋がりを作り、何度も繰り返していくうちに賢くなれる。
4.成果は出さなければいけないが、目的は「能力の強化」
・学習塾である以上、成果は出さなければいけませんが、成果が出ない(失敗)した時の捉え方が重要。正しいやり方で正しい努力をしていれば、「まだ成果」に繋がっていないだけで、能力の強化はされているはずです。講師の役割としては、生徒・保護者が「正しい学習」をしている「正しい努力」をしていると実感し、成果が出るまでの途中経過にあると感じ、努力を継続してもらえる事が重要だと考えます。
5.才能を褒めるのではなく、プロセスを褒める

参考
・「頭がいい」と褒めるのは間違い(Logmi)
・必ずできる_未来を信じる「脳」の力(TED)

使える脳の鍛え方 成功する学習の科学

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  • 作者: ピーター・ブラウン
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