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アダプティブラーニングが思っていた以上に進化していた [最新教育事例]

一人ひとりの学習状況に応じて適切な問題・カリキュラムが設定されるアダプティブラーニング。IT技術の発達で今後広がりを見せるであろう事は予想していましたが、想像以上に速く市場に拡大していきそうな様相です。

経済産業省の参考資料でもEdtechの代表事例として紹介されている米国のKNEWTONは、日本でも多くの企業と提携して、アダプティブラーニングの可能性を提示しています。

①KNEWTONのアダプティブラーニングの特徴
1.レコメンデーション(次の学習ステップの提案)
一人ひとりの学習者に次に取り組む最適の課題が提示される。

2.アナリティクス(学習状況分析)
指導側はクラス全体の進捗だけでなく、つまずいている学習者や先に進む準備ができている学習者の情報も把握でき、適切なタイミングでの個別サポートが可能。学習者は自分自身の学習進捗を確認することができます。さらに管理者や保護者も詳しい学習状況を知ることが可能。

3.コンテンツ・インサイト
学習者が実際にどのように教材を活用したかを分析した情報を得ることで、出版社や教材提供元は継続的に教材の改善ができるようになる。これにより指導者と学習者のニーズに応じた教材の提供が可能になる。

②KNEWTONと提携している各企業のサービス事例
1.Classi(クラッシー)
ソフトバンクグループとベネッセの合弁会社Classi(クラッシー)が提供するサービス。
学習動画・Webドリル・Webテスト・先生と生徒のデータ共有・先生の指導素材の整理や生徒との共有・アンケート・指導記録・帳票出力・生徒カルテ・校内や校外での情報共有が可能。

2.G-PAPILS(学研)
実力派講師陣による高品質な授業映像を見て学習し、学研がもつ豊富な問題に取り組む。そして、生徒の理解度や学習進度に対して、人工知能(AI)による分析が行われる(学習アナリティクス)。加えて、目標設定に基づき、次に学習すべき最適な教材が選ばれる(教材レコメンデーション)。
また、生徒へアドバイスをして「やる気」を引き出すのが「学習メンター」。「学習メンター」は、学習アナリティクスに応じて、生徒への動機付けの活動(メンタリング)を行う。その手法は、松田岳士教授(首都大学東京)監修によるオリジナルで、生徒の心に響くように伝えることを意図したメンタリングメソッド。

3.Z会Asteria
中学生・高校生、社会人までを対象に、意欲・達成度にあわせて学年を越えて進められる無学年制カリキュラム。達成度にあわせ次々に進めることができ、添削指導も受け放題。iPad1台で学習が全て完結する。Knewton のアダプティブ・エンジンを搭載し、問題を解くごとに、解答の正誤、学習履歴、習熟度などのデータを総合して、受講者にフィットした問題や映像講義が提示される。「英語4技能講座」「数学新系統講座」「総合探求講座」を設置。総合探求講座では、受講生どうしのディスカッションを中心とした協働学習を実施する。

今後の検討事項
ソフトバンク・ベネッセ・学研・Z会など、大手企業がアダプティブラーニングに本格的に足を踏み入れています。アダプティブラーニングではもはや学年は関係なく、習得した技能と意欲さえあれば、どんどん新しい技能を習得し、他者との協働やディスカッションも可能になります。主体性さえあればいつでもどこでも学べる時代になっている事は是非とも生徒に伝えていきたい。そして、アダプティブラーニングが広がった時の講師の役割や、アダプティブラーニングを超える指導技術を磨いていきます。

参考
教育産業の現状(経済産業省)
KNEWTON
Classi(クラッシー)
G-PAPILS(学研)
AIを導入した学研の次世代型個別指導塾G-PAPILSがフランチャイズ展開を本格化
Z会Asteria
e-ラーニング・ラボ

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塾需要はどうなる?~情報集約~ [マーケティング]

今後、学習塾が生き残っていくためには、「進学実績」「面倒見」などの「幻想価値」ではなく、一人一人の生徒が成果を実感する「実質価値」に重きを置く必要があると考えています。

まずは、現在の塾需要に関する情報を集約します。

①学習塾市場規模と個別指導塾市場規模

      学習塾・予備校市場規模 個別指導塾市場規模
2011年   9240億円    4010億円(43.3%)
2012年   9380億円    4150億円(44.2%)
2013年   9360億円    4150億円(44.3%)
2014年   9380億円    4190億円(44.6%)
2015年   9570億円    4290億円(44.8%)
2016年   9620億円    4350億円(45.1%)    
2017年   9620億円    4360億円(45.3%)
※2017年は予測
※明光ネットワークジャパンHPより

②通信教育の市場規模
2011年 1900億円
2016年 1176億円(38.1%減)
※ベネッセホールディングスHPより

③EdTechの市場規模
※EdTech
「Education(教育)」と「Technology(科学技術)」を掛け合わせた造語。2000年代中頃のアメリカ発祥。テクノロジーの進歩・発展にあわせ、旧態依然とした教育現場を、テクノロジーの⼒で⾰新していくことを⽬指すビジネス領域。

2015年 1640億円
2020年 2403億円(1.5倍)

※教育産業の現状(経済産業省)より

④19歳以下人口の推移
2015年  2200万人
2030年 1700万人
2040年 1500万人
2050年 1300万人
2060年 1100万人
になると予測されている。

※学習塾業界(山田コンサルティンググループ)より

概観と検討事項
少子化と言われてはいるが、学習塾・予備校の市場規模はほぼ横ばい。個別指導塾は微増。面倒見と、スケジュールの融通がきく事が市場のニーズに合っているからか。今後、一人ひとりの学習状況に合わせてカリキュラムを適応させる事ができるアダプティブラーニングが注目を集めそう。

参考
業界のポジション・市場の動向(明光ネットワークジャパン)
市場環境(ベネッセホールディングス)
教育産業の現状(経済産業省)
学習塾業界(山田コンサルティンググループ)
学習塾・予備校業界の市場規模は?(FUN OF LIFE)
学習塾業界の動向を知り、生き残るための基礎知識(塾経営ラボ)


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学びの地図ver5 [学びの地図]

「追求系」「調査系」の内容をもとに、教室運営で実践している内容を「実践系」として集約。勉強法指示や授業運営、教室運営についてより具体的な内容を扱う。

A.実践系
1.勉強法指示
2.授業運営

B.追求系
  1.小学生の成績を上げるにはどうすればいい?
  2.数学ができるようになるにはどうすればいい?
  3.数学を勉強するのはなんで?
  4.読解問題を解けるようにするにはどうすればいい?
  5.思考力をつける授業にするにはどうすればいい?
  6.計算ミスをなくすにはどうすればいい?
  7.理解するってどういう事?
  8.信頼関係を深めるにはどうすればいい?
  9.説明できるようにするにはどうすればいい?
  10.読解力をつけるにはどうすればいい?

C.調査系
 C-1.教務力
  ①授業力強化
   1.指導技術
   2.探究心の喚起
  ②対話力強化
   1.効果的な声かけ
   2.保護者面談
  ③勉強法
   1.勉強の効率化
   2.思考力を鍛える
   3.勉強の動機付け
   4.記憶力強化
   5.習慣化の技術
   6.精神力を鍛える
  ④教育事例研究
   1.海外教育事例
   2.最新教育事例
 
 C-2.営業力
  ①マーケティング
  ②セールス
 
 C-3.統合力
  ①リーダーシップ
  ②ミーティング運営
 
 C-4.生産性の向上
  
D.生活系
 ①簡単料理
 ②おすすめの店
 ③おすすめスポット
 ④おすすめ生活用品
 ⑤節約術
 ⑥体調管理


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「使える脳の鍛え方」4章ポイント整理 [勉強の効率化]

引き続き、「使える脳の鍛え方」から、指導に活かせるポイントを整理します。

●4章「難しさを歓迎する」ポイント整理
・感覚的に認知したものを脳内で意味のあるイメージに変えるプロセス=「符号化」。脳内にできた新しいイメージ=「記憶痕跡」。心的イメージを長期記憶に残すプロセス=「統合」
「統合」によって「記憶痕跡」を再編(学んだことを再現・練習する・意味を与える・足りないところを補う・過去の記憶や経験、知識と関連付ける)し、安定させる。想起練習は学んだ事を強化する。
⇒「5分間作文」は、現在考えられる最善の想起学習。「再現」「関連付け」など、より学習効果の高まる文章の書き方を指導していく。

・鮮明かつ有意義で、定期的に練習できる知識・技術・経験は身につく。
・知識や技術を思い出すのが簡単であればあるほど記憶を定着させる想起練習の効果は少ない。
・想起するのに努力が必要であればあるほど、しっかり学べる。課題の内容を忘れるほど、長期記憶を形成する効果的な再学習ができる。
・知識を再構築するために努力するプロセスこそ再統合を促し、学習を深める。
⇒「想起練習」の手段として「小テスト」は効果的だと考えれれるが、適切なタイミングと問題によって効果に差が出そう。現状、2週間~1ヶ月前の内容と、前回授業内容を組み合わせた小テストを実施しているが、「2週間~1ヶ月前の小テスト」は、実感しにくいが成果につながっている可能性がある。

・問題の解き方を教わる前に自分の頭を悩ませて解くと、より長く記憶に残る。
⇒適切な問題演習時間は頭を悩ます所。一番早い生徒に合わせる事が多いが、その場合、他の生徒の能力育成を阻害している可能性があるか。

・テストの場合、選択肢を選ぶ問題より解答を記入する設問のほうが学習効果が高い。短いエッセイを書くとさらに効果的。
⇒「小テスト」は一問一答形式ではなく、「授業内容の再現」や「記述問題」中心の構成とし、学習効果を測定したい。

・問題を暗記するより、問題を解こうとする方がいい。あきらめて試さないより、解いてみて間違うほうがいい。

・「省察」とは、ある経験または最近の授業で学んだ事を復習するために少し時間を割き、自問すること。「省察」には、「想起」「精緻化(新しい内容をすでに知っている知識と結びつける)」「生成(主題を自分の言葉に置き換えたり、次に試したいことを頭のなかで具体的にイメージしたりする)」
⇒「省察」の機会を授業内でどれだけ組み込めるかが成果を決定づける可能性が高い。現状「小テスト後」「授業後」「1週間の終わり(土曜日)」に「省察」の時間を確保しているが、より成果の出るタイミングや方法を検討していく。

・短期記憶から想起するのは学習法として効果がなく、新しい知識を身につけるには間違えることが不可欠。
⇒現状、単語や漢字など、テスト直前に覚えてテストに臨んでいる生徒がいるが、学習効果としては無意味な努力になっている可能性がある。範囲の拡大など、時間がたった内容の想起を促すテストに変えたほうが効果的か?

・テストで間違えることに強い不安を感じる学生は、その不安感のせいで実際に成績が落ちることがある。「ワーキングメモリ」のかなりの容量を自分の行動の監視に使ってしまい、問題を解くための容量が少なくなる。
※ワーキングメモリ
特に気が散りやすい環境で、ある問題を解くために保持できる情報量。ワーキングメモリの容量には厳しい上限があり、知能指数に比例する。
⇒現状「満点」にこだわった指導をしているが、「小テスト」や「テスト」を想起の機会と位置付け、不要なプレッシャーを与えない方が、成果につながるか?ただし、実際の入試は「想起トレーニング」と位置づけるわけにはいかず、緊張感の中で成果を出す必要もあるので、「テスト成果」と「プレッシャーの関係」を追求したい。

●学びの活用と検討事項
・5分間作文の指示内容と効果の整理
・効果的な小テスト内容と価値付に関する整理
・思考錯誤させる適切な演習時間についての検討
・授業内での効果的な「省察」の時間確保と指示内容
・「テスト成果」と「プレッシャーの関係」

●参考

使える脳の鍛え方 成功する学習の科学

使える脳の鍛え方 成功する学習の科学

  • 作者: ピーター・ブラウン
  • 出版社/メーカー: エヌティティ出版
  • 発売日: 2016/04/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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