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イーロンマスクの火星移住計画 [探究心の喚起]

中学3年生は天体を学習します。「惑星の特徴」について学習しますが、せっかく魅力的な単元なのに、地球型惑星は密度が大きい、木製型惑星は密度が小さいなど、単純暗記で終わってしまうのはもったいない。という事で、惑星の特徴を少しでも印象づけるために、「惑星」に関するネタを収集してみました。

イーロンマスクの火星移住計画
イーロン・マスクが描く「火星移住計画」の衝撃(DIAMOND ONLINE)の引用です
SpaceXの最高経営責任者(CEO)であるイーロンマスク氏は、2016年9月、火星に居住地を建設する「火星移住計画」を発表しました。今後、10数年以内に地球と惑星との間で数千人を輸送する事業をスタートさせ、その後、約40年から100年後には、火星を100万人が暮らし、自給自足できる居住地にする、というものです。

火星移住計画では、巨大な火星行きの惑星間輸送システムで火星まで約80日かかる日数を、最終的には30日まで短縮するとしています。また火星行きのチケットも、1枚10万ドル(約1000万円)まで値下げするなど、具体的なイメージを語っていました。

予算としては100億ドル(約1兆円)もあれば、この計画を進められるとのことでした。さすがにこれほどの資金力はイーロン・マスクをもってしても難しく、「民間の活力からも、政府の資源からも、できる限り多くを得たいと考えている」と語っていました。

宇宙開発のそもそもの目的には、複数の惑星に人類が住むというものがあります。人口が急激に増えたり、資源が枯渇したり、食糧問題や水の危機が起きたりして、地球に何かが起きたとき、別の惑星にも住めるようにしておくという思想があったのです。

また アマゾンの創業者兼CEOのジェフ・ベゾスも、具体的な惑星を限定していませんが、「宇宙に100万人が住んで、100万人が働く」と言っています。宇宙に経済圏を広げる、ということです。

~以上引用~

なぜ火星なのか
理科の教科書のデータを見ると、地球から太陽までの平均距離を1とすると、太陽から金星までの距離は0.7、太陽から木星までの距離は1.5。このデータだけ見ると、金星にも可能性があるのでは?という気がします。

しかし、金星は、大気圧が90気圧もあり、平均気温は400℃以上。厚い硫酸の雲があるというのも障害になりそうです。また、自転周期が243.02日(火星は1.02日)と極端に自転スピードが遅く、実際に住むとなると生活リズムにも影響しそうです。大きな影響があるとは思いませんが、金星だけが他の惑星と違い、自転が時計回りだそうです。

火星の大気の組成は主に二酸化炭素で、植物を栽培できる可能性もあるそう。表面の気温は-140℃~20℃程度。重力は地球の37%程度。月の重力は地球の6分の1に比べると、まだ地球に近い環境と考えられているようです。

また、火星にはかなり強い風が吹いていており、火星での輸送用に翼があるグライダーのように飛ぶものが研究・開発されているそうです。

他の候補は?
イーロン・マスクが描く「火星移住計画」の衝撃(DIAMOND ONLINE)から引用
NASAは最近、人が住める候補天体の範囲を広げてきています。例えば、木星の衛星のひとつ「ガニメデ」。ガニメデは、1610年にガリレオ・ガリレイによって発見された木星の第3衛星です。

なんと、ガニメデには水があることが、すでに発見できています。その想定量が最近の探査プログラムの中ではっきりしたのですが、地球よりも多くの水があると考えられているのです。
~以上引用~

※ガリレオが発見した木星の4大衛星(イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト)。木星は現在60個以上の衛星が発見されている。

ガニメデの半径は2630Km。地球の半径が約6400km、火星の半径3390km、月1737kmと比べると、ガニメデも一つの移住先の候補になってもおかしくない大きさなのかもしれません。ただし、表面温度は-160℃という事で、気温の問題を克服しなければいけません。

追求テーマ
ガニメデに水がある事を発見した仕組みに興味があるのでもう少し調べてみます。また、ガニメデには生物がいるのではという調査も進んでいるようなので、合わせて調べてみます。

あまり時間をかけて扱う単元ではありませんが、少しでも興味関心を引き出す授業ができるよう構成を考えていきます。

参考
イーロン・マスクが描く「火星移住計画」の衝撃(DIAMOND ONLINE)
イーロン・マスク氏「人類存続のため」火星移住を主張--10年で実現の可能性
オーロラから探る、ガニメデの地下海「ガニメデ」木星の第三衛星にも生物?(宇宙の果て)

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理科の指導で読解力を鍛える [読解力をつけるにはどうすればいい?]

理科の授業を通じて読解力を育成する先行事例の中で、中島雅子氏と堀哲夫氏が共同で執筆している「理科教育の読解力育成における研究」が、授業に即活かせる認識が詰まっていたので整理していきます。

アメリカの理科教科書の手法を紹介した鶴岡義彦氏の主張
鶴岡義彦(千葉大学教育学部教授)は、これまでの理科教育で「言葉・文・読解」を軽視する傾向がみられたと指摘した上で、理科教育にも読解が重要な活動であると主張。読解力育成における具体的方法の一つとして、アメリカの小学校の理科教科書にみられる手法を紹介。

(アメリカの理科教科書の特徴)
「読む前」「読み進めているとき」「読了後」のそれぞれにおける「学習に役立つ読み方(Reading to Learn)」が示されている。
内容としては、「読む前」にその話題について何を知っているかを自問する。「読み進めているとき」は推論し、結論を導き出す。など、メタ認知的活動が重視されている。

※メタ認知
学習者が自分で自分の人となりや、学習の状態を評価し、それによって得た情報によって自分を確認し、今後の学習や行動を調整する力。

具体的には以下の4点の言語活動が示されている。
①単語や語句に注目した言語活動
アメリカでは、理科における重要用語の理解と定着を目指した教材が多数認められる。
科学用語を重視し、その正確な意味の理解を目指すとともに、用語(単語・語句)の語源やつくり、日常の意味との差異に留意するようにうながしている。
学習者がもともと持っている用語や概念の意味や理解内容を確認した上で、科学的な概念の正確な理解を促している。

②文や命題に注目した言語活動
命題を重要な学習内容の1単位を成していて、別の明大と関連付ける事によって新たな価値ある内容(命題)を作り出したり、他の知識や情報との関連において、種々の疑問を生み出したりする事ができる。

③段落や文章の全体構成に注目した言語活動
まず単元の全体像を把握して、話題の焦点をつかみ、その話題に関する既有の知識を想起・整理した上で、本単元での学習内容を予測する。

④読解技能や批判的思考力を鍛える
当該の節を超えて他の節や章や単元での学習事項も、更に日々の経験とそこから得た知識を使って考え、書く。

鶴岡氏の提案は、学習の過程における言語活動を重視し、メタ認知の育成を通じた読解力の向上を目指している。

概念の形成過程を可視化する
学習者自身が、自身の学習過程を確認する事は読解力の育成にはかかせない。また、読解力の向上には「メタ認知」の育成が有効。そのためにも「学習者が元々持つ概念」や「その変容」を自覚するとともに、それらを教師が把握する事が重要。

具体的な提案として「一枚ポートフォリオ法(OPPA:One page Portforio Assessment)や「真正の評価」論が上げられる。これらは、概念の形成過程に注目した評価。

メタ認知とは、自分の思考に対する思考であるので、自分の現在の状態をまず確認するための「外化」、それを踏まえた「内省」、さらに「内化」という過程をたどる事が必須。したがって、次の点を注視する必要がある。

①学習者が外化した内容が可視的になっていること
②学習者と教師が外化された同じ内容で確認ができること
③学習者が外化した内容よりも少し上の資質・能力のレベルに対して教師の働きかけが可能になること

外化と教師のフィードバックによる働きかけにより学習者の内化が可能になり、その過程がスパイラルになされていく。

メタ認知の前提となる自己評価
読解力の育成には、学習を通して「学習者が持つ元々の概念」や「その変容」を自覚するとともに、それらを教師が把握する事が重要。つまり、適切な読解力は自己評価によって育成される。教師がいくら口を酸っぱくして説いても、学習者自らが自己の既有の知識や考えに対する不適切性を自覚しない限り、修正や改善などの必然性は生まれてこない。

学習の家庭のあらゆる場面において、学習者自身が適切な自己評価を行う事により、学習者は授業の中で学習内容の修正や改善を繰り返し、かつ確認を行うことになるので、「内化」「内省」「外化」と相まって、メタ認知の育成につながると考えられる。

今日の学びと今後の追求テーマ
・授業構成として、「命題(テーマ)の提示」→「生徒による外化」→「内省を促すフィードバック」→「内化」というのが一つのサイクルとして効果的だと感じました。
・内省を促す際に、自身の概念と教科書を照らし合わせるという作業も組み込めないか検討していきます。
・生徒に単語や語句の正確な理解を促すためにも、まずは講師が曖昧な語句の正確な意味を把握する必要があると思いました(例えば天体であれば「惑星」や「天体」といった用語)。
・アメリカの理科の教科書に載っているという「Reading to Learn」の詳細を調べてみます。
・「一枚ポートフォリオ法」や「真正の評価」については把握していないので調べてみます。

参考
理科教育の読解力育成における研究-概念の形成過程を中心として-

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授業を通じて読解力を育成する~先行事例~ [読解力をつけるにはどうすればいい?]

科目の好き嫌いよりも読解力の方が偏差値との相関が高いという情報をもとに、教科学習を通じて読解力を育成する事が、今後の教科指導においても重要になると考えるようになりました。

調べてみると、教科学習を通じて読解力を育成しようという試みは、多くの先行事例がある事が分かりました。まずは、私が主に担当している数学・理科を中心に、「読解力を育成する教科指導」に関する先行事例を整理します。

読解力育成に関する先行事例
・理科および読解力について(猿田祐嗣)
・理科における「読解力 (科学的 」 な思考力)を育成するための授業構造
・理科教育の読解力育成における研究( 中島雅子 堀哲夫)
・理科学習におけるPISA型「読解力」育成のための工夫
・埼玉県立総合教育センター 平成19年度 調査研究「読解力を育成する教科指導」
・高等学校理科における読解力の育成に関する研究
・小学校理科の学習と「読解力」
・中学校理科の学習と「読解力」
・小・中学校における読解力の向上を図るための研究
・「読解力」の育成を目指す算数・数学科の授業改善

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「読解力」の定義 [読解力をつけるにはどうすればいい?]

新井紀子氏の研究から「読解力」と「偏差値」の相関が高いという認識を元に、「読解力をつけるにはどうすればいい?」を追求していますが、「読解力」の定義を整理しておきます。

RSTの読解力分類
新井氏の研究で、「読解力」と「偏差値」の相関を調査している元になっている「読解力に関するデータ」は基礎的読解力を調査するRST(リーディングスキルテスト)です。RSTは、AIに読解力をつけさせるための研究で積み上げたエラー分析の蓄積をもとに開発され、読解力を次の6つの要素に分解してテスト・評価しています。
①係り受け
主語と述語の関係や、修飾語と被修飾語の関係を理解する
②照応
「それ」「これ」などの指示代名詞が何を指すかを理解する
③同義文判定
2つの違った文章を読み比べて、意味が同じであるかどうかを判定する
④推論
文の構造を理解した上で、生活体験や常識、様々な知識を総動員して文章の意味を理解する力
⑤イメージ同定
文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力
⑥具体例同定
定義を読んで、それと合致する具体例を認識する能力

新井氏は、AIの精度がなかなか上がらないのが③。意味を理解しないAIに人間が勝てる可能性がある重要分野として④⑤⑥を挙げています。

PISA型読解力の定義と特徴
(PISA型「読解力」の定義)
「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」

(PISAの「読解力」調査内容)
①行為のプロセスとして,テキストの中の事実を切り取り,言語化・図式化する「情報の取り出し」
②書かれた情報から推論・比較して意味を理解する「テキストの解釈」
③書かれた情報を自らの知識や経験に位置づけて理解・評価(批判・仮定)する「熟考・評価」
※出題形式では,自由記述が約4割を占めている。

(PISA型「読解力」の特徴)
文部科学省では、従来の国語教育で使われている「読解力」と、PISAの読解力に違いがあるため、PISA型「読解力」特徴として以下の4項目を提示している。
①テキストに書かれた「情報の取り出し」だけではなく,「理解・評価」(解釈・熟考)することも含んでいること。
②テキストを単に「読む」だけではなく,テキストを利用したり,テキストに基づいて自分の意見を論じたりするなどの「活用」も含んでいること。
③テキストの「内容」だけではなく,構造・形式や表現法も,評価すべき対象となること。
④テキストには,文学的文章や説明的文章などの「連続型テキスト」だけではなく,図,グラフ,表などの「非連続型テキスト」を含んでいること。

追求の方向性
RSTの読解力調査は、PISA型の読解力に近いと感じています。小中高での読解力向上の実践事例を見ると、「PISA型読解力」の向上に向けた実践事例が多いため、「PISA型読解力の向上」という視点で調査、実践を継続していきます。

参考

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

  • 作者: 新井 紀子
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/02/02
  • メディア: 単行本


・PISA型「読解力」(光文書院)
・読解力向上プログラム(文部科学省)

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「読解力」と「教科学力」「社会的実践力」「学びの基礎力」の相関関係 [読解力をつけるにはどうすればいい?]

新井紀子氏の著書「AI vs 教科書が読めない子どもたち」より、「偏差値上昇」と「読解力」には相関関係があるという情報をもとに、「読解力をつけるにはどうすればいい?」を継続的に追求していきます。

まずは、「読解力」と相関の高いデータを整理します。

少し古いデータになりますが、2006年のベネッセ教育研究所の調査によると、以下の相関が見て取れるようです。

①「読解力」と「教科学力」の相関
国語と読解力の相関係数は0.68
算数と読解力の相関係数は0.69
算数の中では、数量や図形についての表現・処理との相関が0.66と高い相関を示す
※相関係数(ー1≦r≦1)で1に近いほど相関関係が強い

国語だけでなく、算数の成績と「読解力」がほぼ同じ正の相関を示している。

②「読解力」と「学びの基礎力」の相関
学びの基礎力とは、「豊かな基礎体験」「学びに向かう力」「自ら学ぶ力」「学びを律する力」の4領域。この4領域の設問のうち、自己評価と「読解力」と相関が高い情報を整理すると、以下ののような生徒が「読解力」が高い。

「豊かな基礎体力」
1.家族や友人、教師との良好な信頼関係ができている。
「学びに向かう力」
2.知的好奇心や感性が豊かで、学習の楽しさや面白さを感じている。
3.学習の役立ぢや大切さを積極的に認めている。
4.物事をやり遂げた経験や喜びを味わっている。
「自ら学ぶ力」
5.繰り返しだけでなく、関連させて覚えるという方略も取り入れている。
6.学習の計画や目当てを持って取り組んでいる。
7.家庭での学習時間を確保し、宿題をきちんとやっている。
「学びを律する力」
8.分からにことはそのままにせず、分かるまで頑張っている。
9.学校の授業を大切にしている。

③「読解力」と「社会的実践力」の関係
社会的実践力とは「問題解決力」「社会参画力」「豊かな心」「自己成長力」の4領域。4領域に関する設問に対する自己評価と読解力、相関が高い情報を整理すると、以下のような生徒が読解力が高い。

「問題解決力」
1.筋道を立て、かつ、多角的に物事を考え、自分なりの意見を持っている。
2.調べたことや考えた事を適切な手段で表現している。
「社会参画力」
3.社会に関する関心が高く、自分なりの貢献のあり方を考えている。
「豊かな心」
4.自分に与えられた課題は、きちんと責任を持ってやり遂げている。
5.難しいことにも失敗を恐れずに挑戦する積極性を持っている。
6.自分と異なる意見も尊重し、協調しながら物事に取り組んでいる。
7.自分の誤りに気づいたときには素直に訂正する柔軟性がある。
「自己成長力」
8.自分の力を伸ばしたいという意思と目標を持っている。

今日の学び
上記の相関だけを見ると、「まぁそうだよね」というのが実感。こんな生徒なら、そりゃあ成績もいいし、読解力も高いでしょという感覚です。因果関係ではなく、あくまで相関関係なので、これだけでは実践に活かすのは難しいですが、読解力と相関関係が高い項目の把握は必須であると考えます。

参考
・「読解力」を育てる総合教育力の向上にむけて―学力向上のための基本調査2006より(ベネッセ教育総合研究所)
・読解力と教科学力との関係(ベネッセ教育研究所)

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