「読解力」の定義 [読解力をつけるにはどうすればいい?]
新井紀子氏の研究から「読解力」と「偏差値」の相関が高いという認識を元に、「読解力をつけるにはどうすればいい?」を追求していますが、「読解力」の定義を整理しておきます。
RSTの読解力分類
新井氏の研究で、「読解力」と「偏差値」の相関を調査している元になっている「読解力に関するデータ」は基礎的読解力を調査するRST(リーディングスキルテスト)です。RSTは、AIに読解力をつけさせるための研究で積み上げたエラー分析の蓄積をもとに開発され、読解力を次の6つの要素に分解してテスト・評価しています。
①係り受け
主語と述語の関係や、修飾語と被修飾語の関係を理解する
②照応
「それ」「これ」などの指示代名詞が何を指すかを理解する
③同義文判定
2つの違った文章を読み比べて、意味が同じであるかどうかを判定する
④推論
文の構造を理解した上で、生活体験や常識、様々な知識を総動員して文章の意味を理解する力
⑤イメージ同定
文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力
⑥具体例同定
定義を読んで、それと合致する具体例を認識する能力
新井氏は、AIの精度がなかなか上がらないのが③。意味を理解しないAIに人間が勝てる可能性がある重要分野として④⑤⑥を挙げています。
PISA型読解力の定義と特徴
(PISA型「読解力」の定義)
「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」
(PISAの「読解力」調査内容)
①行為のプロセスとして,テキストの中の事実を切り取り,言語化・図式化する「情報の取り出し」
②書かれた情報から推論・比較して意味を理解する「テキストの解釈」
③書かれた情報を自らの知識や経験に位置づけて理解・評価(批判・仮定)する「熟考・評価」
※出題形式では,自由記述が約4割を占めている。
(PISA型「読解力」の特徴)
文部科学省では、従来の国語教育で使われている「読解力」と、PISAの読解力に違いがあるため、PISA型「読解力」特徴として以下の4項目を提示している。
①テキストに書かれた「情報の取り出し」だけではなく,「理解・評価」(解釈・熟考)することも含んでいること。
②テキストを単に「読む」だけではなく,テキストを利用したり,テキストに基づいて自分の意見を論じたりするなどの「活用」も含んでいること。
③テキストの「内容」だけではなく,構造・形式や表現法も,評価すべき対象となること。
④テキストには,文学的文章や説明的文章などの「連続型テキスト」だけではなく,図,グラフ,表などの「非連続型テキスト」を含んでいること。
追求の方向性
RSTの読解力調査は、PISA型の読解力に近いと感じています。小中高での読解力向上の実践事例を見ると、「PISA型読解力」の向上に向けた実践事例が多いため、「PISA型読解力の向上」という視点で調査、実践を継続していきます。
参考
・PISA型「読解力」(光文書院)
・読解力向上プログラム(文部科学省)
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RSTの読解力分類
新井氏の研究で、「読解力」と「偏差値」の相関を調査している元になっている「読解力に関するデータ」は基礎的読解力を調査するRST(リーディングスキルテスト)です。RSTは、AIに読解力をつけさせるための研究で積み上げたエラー分析の蓄積をもとに開発され、読解力を次の6つの要素に分解してテスト・評価しています。
①係り受け
主語と述語の関係や、修飾語と被修飾語の関係を理解する
②照応
「それ」「これ」などの指示代名詞が何を指すかを理解する
③同義文判定
2つの違った文章を読み比べて、意味が同じであるかどうかを判定する
④推論
文の構造を理解した上で、生活体験や常識、様々な知識を総動員して文章の意味を理解する力
⑤イメージ同定
文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力
⑥具体例同定
定義を読んで、それと合致する具体例を認識する能力
新井氏は、AIの精度がなかなか上がらないのが③。意味を理解しないAIに人間が勝てる可能性がある重要分野として④⑤⑥を挙げています。
PISA型読解力の定義と特徴
(PISA型「読解力」の定義)
「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」
(PISAの「読解力」調査内容)
①行為のプロセスとして,テキストの中の事実を切り取り,言語化・図式化する「情報の取り出し」
②書かれた情報から推論・比較して意味を理解する「テキストの解釈」
③書かれた情報を自らの知識や経験に位置づけて理解・評価(批判・仮定)する「熟考・評価」
※出題形式では,自由記述が約4割を占めている。
(PISA型「読解力」の特徴)
文部科学省では、従来の国語教育で使われている「読解力」と、PISAの読解力に違いがあるため、PISA型「読解力」特徴として以下の4項目を提示している。
①テキストに書かれた「情報の取り出し」だけではなく,「理解・評価」(解釈・熟考)することも含んでいること。
②テキストを単に「読む」だけではなく,テキストを利用したり,テキストに基づいて自分の意見を論じたりするなどの「活用」も含んでいること。
③テキストの「内容」だけではなく,構造・形式や表現法も,評価すべき対象となること。
④テキストには,文学的文章や説明的文章などの「連続型テキスト」だけではなく,図,グラフ,表などの「非連続型テキスト」を含んでいること。
追求の方向性
RSTの読解力調査は、PISA型の読解力に近いと感じています。小中高での読解力向上の実践事例を見ると、「PISA型読解力」の向上に向けた実践事例が多いため、「PISA型読解力の向上」という視点で調査、実践を継続していきます。
参考
・PISA型「読解力」(光文書院)
・読解力向上プログラム(文部科学省)
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