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読解力をつけるにはどうすればいい? ブログトップ

読解力の育成は感化からはじまる [読解力をつけるにはどうすればいい?]

橋本武氏の「銀の匙」授業と、佐藤優氏の「国語ゼミ」から、読解力を育成するキーワードとして「感化」という言葉が浮かんできます。

橋本武氏の「銀の匙」授業
中勘助の「銀の匙」を3年間かけて読み解くという橋本氏の授業ですが、その授業は「銀の匙研究ノート」という副教材プリントを使用して展開されたそうです。

「銀の匙研究ノート」は橋本氏自身が1年間かけて研究した「銀の匙教材研究」をもとに、橋本氏自身のノート作りの過程を子どもたちにも追体験させる狙いで作成したそうです。自身の思考錯誤ぶりが子どもたちにも伝わればいいという考えがあったそうです。

橋本氏は、「教師の仕事というのは自分の人間性を生徒にぶつけることだ」と述べており、教師が自分自身を磨いていれば、その姿は必ず子ども達の胸に届くとも言っています。

佐藤優「国語ゼミ」より
佐藤氏は「国語ゼミ」の中で、「読書の道は「感化」から」という章を設け、自らの読書体験に影響を与えた人物を紹介しています。そして、「本質的な「読む力」を身につけるうえでは、具体的な人間関係のなかで誰かの影響を受ける事が決定的に重要」としています。

今日の学び
生徒の読解力を育成するためには、まず講師が学ぶ事。講師の思考過程を追体験させる事。生徒の読解力・成績を上げるためには、どれだけ講師が学んでいるかに規定されると考えるべきだと思います。

教科書と入試問題をベースに学問的追求を進め、思考過程を追体験させる仕組みを検討していきます。

参考

伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力

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  • 作者: 橋本 武
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2012/01/26
  • メディア: 単行本



国語ゼミ―AI時代を生き抜く集中講義 (NHK出版新書 554)

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  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2018/06/07
  • メディア: 新書



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橋本武氏の指導に学ぶ [読解力をつけるにはどうすればいい?]

新井紀子氏の「AI vs 教科書が読めない子どもたち」によると、「読解力と偏差値の相関が高い」としつつも、読解力を上げる科学的根拠のある方法論は今の所ないとしています。ただし、新井氏の経験や、佐藤優氏の「国語ゼミ」などを見ると、「熟読」というのが、読解力を上げる一つのキーワードになるのではないかと感じました。

そこで、「銀の匙」を3年間かけて読み込む指導をして有名だった橋本武氏の著作をもとに、読解力を育むヒントを探ってみました。

「銀の匙研究ノート」の勉強法
以下、「伝説の灘教師が教える一生役立つ学ぶ力(P60,61)」から引用
①通読
各章を一通り読んで、読めない字を調べておく。また、そうした字の読み方(発音の仕方)も工夫してみる。

②主題
それぞれの章が、何について書かれているのかを考え、自分で章のタイトルを決めてみる。

③内容の整理
章ごとの内容について、どのようなことがどんな順序で書いてあるかをまとめてみる。

④語句の意味
(研究ノートに)あらかじめ難しい語句の意味や説明が記載されているので、よく覚えておくよう努力する。

⑤注意すべき語句
(研究ノートに)あらかじめ抜き出してある文中に登場する語句について、意味や使い方などを説明してみる。誰でも知っている言葉もあれば、難しい言葉もあるので、自分で調べたり、友達に意見を求めてみたりする。

⑥短文の練習
前項「注意すべき語句」で取り上げた言葉を用いて短文をいくつかつくり、そのうちのひとつを書きとめておく。

⑦鑑賞
文の書き表し方のうまいと思われる部分を書き写す。そして、どんなところに感心させられたのかを考えていみる。

⑧参考
(研究ノートに)あらかじめあげてある、内容と関連するいろいろな事項をよく読み、必要な事は覚えておく。

~以上引用~

語句調べや語句の活用など、一言一句丁寧に読み込むことを推奨している事が伺えます。要約や要旨を掴む事、鑑賞など、読み込んだ上で考える作業、書く作業を重視している事も特徴だと思います。また、ゼロから生徒に考えさせるのではなく、関連事項なども一定提示する事が、より生徒の思考を促すことにつながっているように感じました。

多読を推奨
スローリーディングが印書的な橋本氏ですが、生徒には多読を推奨していたようです。1ヶ月に1冊課題図書を出し、感想文を書く課題も出していたようです。

「考える力をつけるためにゆっくりじっくり1冊の本を読み込み、同時に人の生き方、あり方の幅を知るためになるべく多くの本を読む。この両輪がそろってはじめて「真に国語力を養う読み方」という事になる。」

と述べている事からもわかるように、考える力をつけるためには「熟読」が効果的と考えていた事が伺えます。

国語力のカギとなるのは「書く」こと
以下引用(P81)
なぜ、ここまで「書く」ことにこだわったのか。そのわけは、書く事によって、読むだけではなかなか身に付かない「判断力」「構成力」「集中力」が養われるからです。
以上引用

私の塾で実施している5分間作文でも、生徒はその日に学んだ事から何をテーマにするか判断し、説明するための構成を考え、集中してペンを走らせています。「書く」作業は、理解不十分な点が浮き彫りになります。「読む」と「書く」をセットにする事が理解と正確な読解にとっては最も効果的だと考えています。

今日の学び
・「語句の正確な理解」に力を入れていきます。
・「覚えるべき語句」「関連事項」など、考えるきっかけになる事を事前に絞り込んで提示していきます。
・佐藤氏の「国語ゼミ」の内容も合わせて、「ワークブック」の作成に取り組んでいきます。

参考

伝説の灘校教師が教える一生役立つ学ぶ力

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  • 作者: 橋本 武
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佐藤優「国語ゼミ」より~教科書を利用した読解力養成~ [読解力をつけるにはどうすればいい?]

佐藤優氏の「国語ゼミ~AI時代を生き抜く集中講義~」から、教科書を利用した読解力養成についての学びです。

佐藤氏は、学びの基本となる力は「読む力」としたうえで、基礎編・応用編・実践編の3つに分けて、読解力養成法と実践問題を提示しています。

①基礎編
教科書を使った「読む力」をつけるための学習法を解説

②応用編
難解な本の読解に挑む

③実践編
市立武蔵高等学校中学校での講義を題材に「読む力」を「論理的思考力」や「判断力」へと発展させる道筋を具体的に提示

「教科書」を利用した「読解力の養成」は即実践にも活かせるのではないかと考え、読んでみました。以下に実践に活用するポイントを整理します。

①教科書を活用した三段階の学習方法
1.「要約と敷衍(ふえん)」
教科書を正確に読み解くために「音読」する。そのうえで教科書の指定箇所を自らの言葉で要約し、敷衍する訓練をする。
※筆者の定義
「要約」文章の中の重要な箇所を抽出してまとめる。
「敷衍」抽象的な概念や文章を、自分の言葉で噛み砕いてわかりやく説明すること。

まず「音読」で知識を定着させ、「要約と敷衍」で定着した事を自らの言葉で説明する。
2.「比較」
教科書の複数の記述を比較して、物事を複眼的に捉える訓練を行う。
3.「能動的読解」
自ら立てたてテーマや問題意識に即して、複数の教科書を能動的に読む訓練を行う。

②ワークブックの作成
佐藤氏は、大学などの講義で受講者に自学自習してもらうために、テキストに準拠した独自のワークブックをつくる事があるそうです。
(例)
【テキスト】もういちど読む山川倫理
【ワークブック】
・古代ギリシアにおけるロゴスについて説明しなさい(100字)*19~20ページ
・古代ギリシアの自然哲学について、代表的哲学者の名を4人あげて簡潔に説明しなさい(200字)*20~21ページ

上記のような記述問題を250問程度つくり、自学自習でといてもらって添削するという方法で、すべて解き終えれば、西洋思想や日本思想に関する基本知識の定着を目指しているそうです。

③比較で意識するのは「相違点」と「共通点」を明確にすること
比較する時のポイント
1.比較とは複数の事象を突き合わせってその異同を考察すること。
2.観点・項目を揃えて比較する

今日の学び
「教科書が読めない子どもたち」で指摘されているとおり、子どもたちの大半が、教科書を読んで理解するという学習が困難な状況だと感じています。噛み砕いて教えてあげるだけでは、生徒の読解力や学力の向上は難しく、いかにして、子どもたちが、自分で「教科書を読み解く力」を身につけさせるかが重要だと考えています。

教科書準拠のワークブック作成は、子ども達の読解力養成につながる可能性を感じました。「説明できるかを確認する問題」「比較できるかを確認する問題」などの問題設定をして、授業ないか、自宅課題として提示してみようと思います。

また、授業アンケートなど、能動的な問題意識を確認する手段はいくつかあるので、ここでキャッチした問題意識も授業に活かしていきます。

参考

国語ゼミ―AI時代を生き抜く集中講義 (NHK出版新書 554)

国語ゼミ―AI時代を生き抜く集中講義 (NHK出版新書 554)

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2018/06/07
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接続語を指定した5分間作文で論理的思考力を鍛える [読解力をつけるにはどうすればいい?]

毎回の授業終了時に実施している「5分間作文」。今日の「授業でできるようになった事」をテーマに実施している作文ですが、多くの生徒が5分間で200文字程度の作文を書けるようになっています。

この作文を利用して、生徒の理解を深め、論理的思考力を高めたい。そのためにはどうすればいいか?。ヒントとして、福嶋隆史氏の「本当の国語力」が驚くほど伸びる本」を参考にします。

福嶋氏は「国語力」とは「論理的思考力」であるとし、「論理的思考力」を構成する要素を、次の3つに分類しています。

①言いかえる力(具体抽象)
②くらべる力(対比)
③たどる力(因果関係)

著書では、これらの力をつけるための具体的な方法論が提示されていますが、5分間作文への応用として、3つの力をつけるための「接続語」の使用を指示していきます。

①「つまり」(具体→抽象)
②「例えば」(抽象→具体)
③「それに対して」(対比)
④「だから」(原因→結果)
⑤「なぜなら」(結果→原因)

作文に関しては、全講師がチェックし、授業内容を理解できているかどうかや、生徒の状態を確認しています。作文の内容と偏差値の相関は大きく、理解度の高い生徒は上記5つの接続語を無意識に使っています。

上記を意識化する事で、生徒の論理的思考力を鍛え、全科目の成績上昇につながる読解力を鍛えていきます。

参考

「本当の国語力」が驚くほど伸びる本―偏差値20アップは当たり前!

「本当の国語力」が驚くほど伸びる本―偏差値20アップは当たり前!

  • 作者: 福嶋 隆史
  • 出版社/メーカー: 大和出版
  • 発売日: 2009/07/01
  • メディア: 単行本



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理科の指導で読解力を鍛える [読解力をつけるにはどうすればいい?]

理科の授業を通じて読解力を育成する先行事例の中で、中島雅子氏と堀哲夫氏が共同で執筆している「理科教育の読解力育成における研究」が、授業に即活かせる認識が詰まっていたので整理していきます。

アメリカの理科教科書の手法を紹介した鶴岡義彦氏の主張
鶴岡義彦(千葉大学教育学部教授)は、これまでの理科教育で「言葉・文・読解」を軽視する傾向がみられたと指摘した上で、理科教育にも読解が重要な活動であると主張。読解力育成における具体的方法の一つとして、アメリカの小学校の理科教科書にみられる手法を紹介。

(アメリカの理科教科書の特徴)
「読む前」「読み進めているとき」「読了後」のそれぞれにおける「学習に役立つ読み方(Reading to Learn)」が示されている。
内容としては、「読む前」にその話題について何を知っているかを自問する。「読み進めているとき」は推論し、結論を導き出す。など、メタ認知的活動が重視されている。

※メタ認知
学習者が自分で自分の人となりや、学習の状態を評価し、それによって得た情報によって自分を確認し、今後の学習や行動を調整する力。

具体的には以下の4点の言語活動が示されている。
①単語や語句に注目した言語活動
アメリカでは、理科における重要用語の理解と定着を目指した教材が多数認められる。
科学用語を重視し、その正確な意味の理解を目指すとともに、用語(単語・語句)の語源やつくり、日常の意味との差異に留意するようにうながしている。
学習者がもともと持っている用語や概念の意味や理解内容を確認した上で、科学的な概念の正確な理解を促している。

②文や命題に注目した言語活動
命題を重要な学習内容の1単位を成していて、別の明大と関連付ける事によって新たな価値ある内容(命題)を作り出したり、他の知識や情報との関連において、種々の疑問を生み出したりする事ができる。

③段落や文章の全体構成に注目した言語活動
まず単元の全体像を把握して、話題の焦点をつかみ、その話題に関する既有の知識を想起・整理した上で、本単元での学習内容を予測する。

④読解技能や批判的思考力を鍛える
当該の節を超えて他の節や章や単元での学習事項も、更に日々の経験とそこから得た知識を使って考え、書く。

鶴岡氏の提案は、学習の過程における言語活動を重視し、メタ認知の育成を通じた読解力の向上を目指している。

概念の形成過程を可視化する
学習者自身が、自身の学習過程を確認する事は読解力の育成にはかかせない。また、読解力の向上には「メタ認知」の育成が有効。そのためにも「学習者が元々持つ概念」や「その変容」を自覚するとともに、それらを教師が把握する事が重要。

具体的な提案として「一枚ポートフォリオ法(OPPA:One page Portforio Assessment)や「真正の評価」論が上げられる。これらは、概念の形成過程に注目した評価。

メタ認知とは、自分の思考に対する思考であるので、自分の現在の状態をまず確認するための「外化」、それを踏まえた「内省」、さらに「内化」という過程をたどる事が必須。したがって、次の点を注視する必要がある。

①学習者が外化した内容が可視的になっていること
②学習者と教師が外化された同じ内容で確認ができること
③学習者が外化した内容よりも少し上の資質・能力のレベルに対して教師の働きかけが可能になること

外化と教師のフィードバックによる働きかけにより学習者の内化が可能になり、その過程がスパイラルになされていく。

メタ認知の前提となる自己評価
読解力の育成には、学習を通して「学習者が持つ元々の概念」や「その変容」を自覚するとともに、それらを教師が把握する事が重要。つまり、適切な読解力は自己評価によって育成される。教師がいくら口を酸っぱくして説いても、学習者自らが自己の既有の知識や考えに対する不適切性を自覚しない限り、修正や改善などの必然性は生まれてこない。

学習の家庭のあらゆる場面において、学習者自身が適切な自己評価を行う事により、学習者は授業の中で学習内容の修正や改善を繰り返し、かつ確認を行うことになるので、「内化」「内省」「外化」と相まって、メタ認知の育成につながると考えられる。

今日の学びと今後の追求テーマ
・授業構成として、「命題(テーマ)の提示」→「生徒による外化」→「内省を促すフィードバック」→「内化」というのが一つのサイクルとして効果的だと感じました。
・内省を促す際に、自身の概念と教科書を照らし合わせるという作業も組み込めないか検討していきます。
・生徒に単語や語句の正確な理解を促すためにも、まずは講師が曖昧な語句の正確な意味を把握する必要があると思いました(例えば天体であれば「惑星」や「天体」といった用語)。
・アメリカの理科の教科書に載っているという「Reading to Learn」の詳細を調べてみます。
・「一枚ポートフォリオ法」や「真正の評価」については把握していないので調べてみます。

参考
理科教育の読解力育成における研究-概念の形成過程を中心として-

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授業を通じて読解力を育成する~先行事例~ [読解力をつけるにはどうすればいい?]

科目の好き嫌いよりも読解力の方が偏差値との相関が高いという情報をもとに、教科学習を通じて読解力を育成する事が、今後の教科指導においても重要になると考えるようになりました。

調べてみると、教科学習を通じて読解力を育成しようという試みは、多くの先行事例がある事が分かりました。まずは、私が主に担当している数学・理科を中心に、「読解力を育成する教科指導」に関する先行事例を整理します。

読解力育成に関する先行事例
・理科および読解力について(猿田祐嗣)
・理科における「読解力 (科学的 」 な思考力)を育成するための授業構造
・理科教育の読解力育成における研究( 中島雅子 堀哲夫)
・理科学習におけるPISA型「読解力」育成のための工夫
・埼玉県立総合教育センター 平成19年度 調査研究「読解力を育成する教科指導」
・高等学校理科における読解力の育成に関する研究
・小学校理科の学習と「読解力」
・中学校理科の学習と「読解力」
・小・中学校における読解力の向上を図るための研究
・「読解力」の育成を目指す算数・数学科の授業改善

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「読解力」の定義 [読解力をつけるにはどうすればいい?]

新井紀子氏の研究から「読解力」と「偏差値」の相関が高いという認識を元に、「読解力をつけるにはどうすればいい?」を追求していますが、「読解力」の定義を整理しておきます。

RSTの読解力分類
新井氏の研究で、「読解力」と「偏差値」の相関を調査している元になっている「読解力に関するデータ」は基礎的読解力を調査するRST(リーディングスキルテスト)です。RSTは、AIに読解力をつけさせるための研究で積み上げたエラー分析の蓄積をもとに開発され、読解力を次の6つの要素に分解してテスト・評価しています。
①係り受け
主語と述語の関係や、修飾語と被修飾語の関係を理解する
②照応
「それ」「これ」などの指示代名詞が何を指すかを理解する
③同義文判定
2つの違った文章を読み比べて、意味が同じであるかどうかを判定する
④推論
文の構造を理解した上で、生活体験や常識、様々な知識を総動員して文章の意味を理解する力
⑤イメージ同定
文章と図形やグラフを比べて、内容が一致しているかどうかを認識する能力
⑥具体例同定
定義を読んで、それと合致する具体例を認識する能力

新井氏は、AIの精度がなかなか上がらないのが③。意味を理解しないAIに人間が勝てる可能性がある重要分野として④⑤⑥を挙げています。

PISA型読解力の定義と特徴
(PISA型「読解力」の定義)
「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」

(PISAの「読解力」調査内容)
①行為のプロセスとして,テキストの中の事実を切り取り,言語化・図式化する「情報の取り出し」
②書かれた情報から推論・比較して意味を理解する「テキストの解釈」
③書かれた情報を自らの知識や経験に位置づけて理解・評価(批判・仮定)する「熟考・評価」
※出題形式では,自由記述が約4割を占めている。

(PISA型「読解力」の特徴)
文部科学省では、従来の国語教育で使われている「読解力」と、PISAの読解力に違いがあるため、PISA型「読解力」特徴として以下の4項目を提示している。
①テキストに書かれた「情報の取り出し」だけではなく,「理解・評価」(解釈・熟考)することも含んでいること。
②テキストを単に「読む」だけではなく,テキストを利用したり,テキストに基づいて自分の意見を論じたりするなどの「活用」も含んでいること。
③テキストの「内容」だけではなく,構造・形式や表現法も,評価すべき対象となること。
④テキストには,文学的文章や説明的文章などの「連続型テキスト」だけではなく,図,グラフ,表などの「非連続型テキスト」を含んでいること。

追求の方向性
RSTの読解力調査は、PISA型の読解力に近いと感じています。小中高での読解力向上の実践事例を見ると、「PISA型読解力」の向上に向けた実践事例が多いため、「PISA型読解力の向上」という視点で調査、実践を継続していきます。

参考

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

  • 作者: 新井 紀子
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/02/02
  • メディア: 単行本


・PISA型「読解力」(光文書院)
・読解力向上プログラム(文部科学省)

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「読解力」と「教科学力」「社会的実践力」「学びの基礎力」の相関関係 [読解力をつけるにはどうすればいい?]

新井紀子氏の著書「AI vs 教科書が読めない子どもたち」より、「偏差値上昇」と「読解力」には相関関係があるという情報をもとに、「読解力をつけるにはどうすればいい?」を継続的に追求していきます。

まずは、「読解力」と相関の高いデータを整理します。

少し古いデータになりますが、2006年のベネッセ教育研究所の調査によると、以下の相関が見て取れるようです。

①「読解力」と「教科学力」の相関
国語と読解力の相関係数は0.68
算数と読解力の相関係数は0.69
算数の中では、数量や図形についての表現・処理との相関が0.66と高い相関を示す
※相関係数(ー1≦r≦1)で1に近いほど相関関係が強い

国語だけでなく、算数の成績と「読解力」がほぼ同じ正の相関を示している。

②「読解力」と「学びの基礎力」の相関
学びの基礎力とは、「豊かな基礎体験」「学びに向かう力」「自ら学ぶ力」「学びを律する力」の4領域。この4領域の設問のうち、自己評価と「読解力」と相関が高い情報を整理すると、以下ののような生徒が「読解力」が高い。

「豊かな基礎体力」
1.家族や友人、教師との良好な信頼関係ができている。
「学びに向かう力」
2.知的好奇心や感性が豊かで、学習の楽しさや面白さを感じている。
3.学習の役立ぢや大切さを積極的に認めている。
4.物事をやり遂げた経験や喜びを味わっている。
「自ら学ぶ力」
5.繰り返しだけでなく、関連させて覚えるという方略も取り入れている。
6.学習の計画や目当てを持って取り組んでいる。
7.家庭での学習時間を確保し、宿題をきちんとやっている。
「学びを律する力」
8.分からにことはそのままにせず、分かるまで頑張っている。
9.学校の授業を大切にしている。

③「読解力」と「社会的実践力」の関係
社会的実践力とは「問題解決力」「社会参画力」「豊かな心」「自己成長力」の4領域。4領域に関する設問に対する自己評価と読解力、相関が高い情報を整理すると、以下のような生徒が読解力が高い。

「問題解決力」
1.筋道を立て、かつ、多角的に物事を考え、自分なりの意見を持っている。
2.調べたことや考えた事を適切な手段で表現している。
「社会参画力」
3.社会に関する関心が高く、自分なりの貢献のあり方を考えている。
「豊かな心」
4.自分に与えられた課題は、きちんと責任を持ってやり遂げている。
5.難しいことにも失敗を恐れずに挑戦する積極性を持っている。
6.自分と異なる意見も尊重し、協調しながら物事に取り組んでいる。
7.自分の誤りに気づいたときには素直に訂正する柔軟性がある。
「自己成長力」
8.自分の力を伸ばしたいという意思と目標を持っている。

今日の学び
上記の相関だけを見ると、「まぁそうだよね」というのが実感。こんな生徒なら、そりゃあ成績もいいし、読解力も高いでしょという感覚です。因果関係ではなく、あくまで相関関係なので、これだけでは実践に活かすのは難しいですが、読解力と相関関係が高い項目の把握は必須であると考えます。

参考
・「読解力」を育てる総合教育力の向上にむけて―学力向上のための基本調査2006より(ベネッセ教育総合研究所)
・読解力と教科学力との関係(ベネッセ教育研究所)

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読解力の強化が急務~「Ai vs 教科書が読めない子どもたち」より~ [読解力をつけるにはどうすればいい?]

私が主に指導しているのは数学と理科ですが、生徒の様子を見ると、明らかに数学、理科ではなくそれ以前に問題の意味を掴めずに間違っている場面が多く見受けられます。

また、教科書や解答解説を自分で読んで理解するという事ができていないのではないか?できないのではないか?と感じる場面も多々あります。

どうすれば、「生徒が問題の意味を正確に捉えられるようになるのか?」「どうすれば生徒が自分で教科書や解答解説を読み進められるようになるのか?」

このような問題意識を持っていたとき、新井紀子氏の著書「AI vs 教科書が読めない子どもたち」は、「やっぱりそうか」という思いと、数学・理科の指導と同等かそれ以上に「読解力をつける」指導が重要であるという認識を強く感じさせられました。

「読解力をつけるにはどうすればいい?」というテーマで継続的に追求していきますが、その土台として、新井氏の著書から現状の子ども達の状況を整理していきます。

全国2万5千人の読解力調査でわかったこと
・中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできない。
・学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない。
・進学率が100%の進学校でも、内容理解を要する読解問題の正答率は50%強程度である。
・読解能力値と進学できる高校の偏差値との相関は極めて高い。
・読解能力値は中学生の間は平均的には向上する。
・読解能力値は高校では向上していない。
・読解能力値と家庭の経済状況には負の相関関係がある。
・通塾の有無と読解能力値は無関係。
・読書の好き嫌い、科目の得意不得意、1日のスマートフォンの利用時間や学習時間などの自己申告結果と基礎的読解力には相関はない。

今日の学び
新井氏の提示しているデータによると、「通塾」「学習時間」「読書」など、一見読解力と相関がありそうなデータと読解力に相関が見られないというのは衝撃です。

また、このような相関が見られないにも関わらず、「読解力」と「偏差値」に極めて高い相関があるという事は、「読解力」は何よりも優先して鍛えなければいけないという事ではないかと思います(逆に言うと、読解力がなければいくら勉強時間を増やしても成績は頭打ちになってしまう)。

ただし、新井氏自身、読解力を養うための有効な方法論は今のところないとしています。

新井氏が立ち上げた「教育のための科学研究所」が実施しているRST「リーディングスキルテスト」を小学6年生~中学3年生の全生徒が受験している埼玉県戸田市では、読解力をつけるための指導方法に関する授業研究が盛んなようです。

こういった他の事例も参考にしながら、読解力を向上する指導の実践と追求を継続していきます。

参考

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

  • 作者: 新井 紀子
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2018/02/02
  • メディア: 単行本


読解力が危ない(1)~問題文が理解できない(YOMIURI ONLINE)
RST
AI時代を生き残る術「教科書などの文章を読む力をまず身につけるべき」(ニュースイッチ)

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