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3分の2が職業高校に進学するスイスの教育システム [海外教育事例]

【スイス教育の理念】
・ペスタロッチ(民衆教育の父)がスイス教育の理論的土台
⇒将来子どもが経済的に自立できるように、知的教育とともに、実践的な教育を重視
・「生活と仕事の準備をする」ことが教育の目標として掲げられている。
・職業的自立が成し遂げられるように、教育システムが組み立てられている。

【スイスの状況】
・2012年:失業率3%前後と低い水準を維持(特に若年層の失業率が低い)。
・国民の幸福度は先進国トップ。
・優れた技術を有する工業国(精密機械・機械工業・化学工業・製薬では世界でも有数の輸出国)。

【スイスの教育システム】
・小学校が4~6年、中学校が5~3年というのが平均的で、9年間の義務教育を終えるとほとんどの生徒が高校に進学。
・約3分の1はギムナジウムなどの普通高校(4年間)に、3分の2は職業高校(3年間)に進む。
・大学進学希望者は最終学年に大学入学資格(マトゥーラ)を取得して、その成績に応じて希望の大学・学部に進学。
・医学部を除いて、大学入学試験はなし
・平均で5年程度の在籍で大学を卒業するが、その間に兵役義務があるため、大学卒業時の年齢は若くても25歳程度に

【職業高校の特徴】
・中学卒業後に職業訓練をしながら職業学校に通う「二元制度(デュアルシステム)」。働きながら、週に1~2日は職業専門学校やカレッジで学ぶ。
・給料は安い代わりに、雇い主は責任を持って若者に技術指導し、学校に通えるように配慮。
・訓練できる職種は260種以上もある。
・見習い期間の最後に資格試験があり、それに合格すると正式な資格がもらえる(その専門技術は、大学で専門教育を受けたレベルを凌ぐ)。
・資格を取ると、特定の企業や雇い先だけでなく、全国どこでも通用するので、将来の仕事口や収入は安定。
・見習い契約を結ぶ段階で、将来需要が少ない職種では募集が減り、需要増が見込める職種は募集が増えるため、需要のない職業訓練を行うことがおこりにくい。

【中等教育は数学を重視】
・技術的な仕事をするうえで、数学が鍵をにぎるという考え)
・2015PISAは数学的リテラシー8位(日本は5位)
・数学指導のポイント
1.具体的な問題から考えさせる
2.一方的に話すのではなく、やり取りをしながら説明
3.実際に手を動かしたり、発表することを重視
4.自分で問題に取り組む時間を取り、教師が苦手な生徒を中心にサポート
5.自己発見型というよりも、教師が導く補助誘導型(自己発見型にしすぎると、数学が苦手な生徒が混乱や迷走を招き、効果が上がらない)

高校進学時に3分の2が職業高校を選択するという状況に驚きます。小中学校の間に、適性を判断するための指導も徹底しているようです。「教育=職業的自立」という視点は、小中学生に現実社会の問題点を自分事としてとらえ、追及するきっかけにもなりそうです。

【参考】
世界の学校を見てみよう(外務省)
諸外国・地域の学校情報(外務省)
スイスの教育制度 -即戦力の人材を育てる、職業教育に力を入れる国
国際競争に負けない、スイスの大学教育
スイスの教育制度
スイスの学校教育システムについて。小学校高学年で、進学コースがすでに分かれる

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