SSブログ

セッション2.肯定的な注目を与える(ぺアレント・トレーニング) [効果的な声かけ]

ペアレント・トレーニング第2回のテーマは「肯定的な注目を与える」です。

①肯定的な注目の種類
1.褒める
「もう宿題始めたの?えらいね」
2.励ます
「あともう少しだよ、がんばれ!」
3.その行動に気が付いていることを知らせる
「宿題始めたんだね」「ゴミ拾ってくれたんだね」
4.微笑む
同時にVサインやOKサインなどを示してもよい
5.感謝する
「お皿運んでくれてありがとう」
6.興味や関心を示す
「難しい問題だね」「今授業ではどんな事をやってるの?」
7.そっと身体に触る
そっと頭を撫でる、肩に手を置く、ハイタッチ等
8.次の活動に誘う
お菓子を買ってと駄々をこねる子どもがブツブツ言いながらも諦める⇒「カートを押してくれる?」「おうちに帰ったらジュース飲もうね」
※今していた好ましくない行動を、お父さん(お母さん)が全く気にしていないこと、水に流していることを示す

②ほめ方のコツ
1.「25パーセントルール」
パーフェクトを待っていては、なかなか褒める機会が見つからないので、「25%ぐらいできたら褒める」
・課題を思い出したら褒める
・やり始めたら褒める
・やっている最中に何度か褒める
・終わったら褒める

2.姿勢・からだ・表情・声の調子
褒めるときは子どもの目線に自分の高さを下げ、視線を合わせて声をかける。遠くから声をかけるのではなく、子どもに近づいて声をかける。明るい表情・穏やかな表情で、穏やかで温かみのある声、明るい声で。

3.ことば
メッセージはシンプルに、短く、簡潔明瞭に、皮肉・批判は避ける(「昨日もそうすればよかったのにね」など)。褒め言葉の前に、枕詞のように行動を付け加える事を意識する。
※漠然と「いい子ね」「えらいね」という声かけだけでは、「自分はいい子なんだ」「えらいんだ」と不当な万能感を抱く場合がある。さらに、「いいこじゃないとダメ」「えらくない自分は価値がない」と考える事さえ起ってくる可能性もあるので注意が必要。

4.効果的に褒める(子どもの性格や感じ方、年齢に応じた褒め)
子どもによっては人前で大げさに褒められるのが好きな子もいれば、そっと褒められたい子もいる。子どもが「褒めらている」と感じることが重要。また、あまりにも当たり前のことは、褒められても素直にうれしいとは感じない場合がある。子どもにとって、今褒められたいこと、認められたいことは何なのかを注意深く観察し、見つけ出していく事が必要。

③セッション2の宿題
「好ましい行動」が出たらすかさずほめる練習をし、それらを記録する。

今日段階では、「好ましい行動」を事前に列挙していたことと、「25%ルール」を意識した事で、普段よりも褒める機会は多くなりました。子どもが嬉しそうな表情をしている事も多く、姿勢を正して食事を食べるなど、自然に好ましい行動をする場面もみられました。ただし、「好ましくない行動」をとる場面が多いので、現状はどうしても叱ってしまう事が多いです。継続して変化を見ていくのと、「好ましくない行動」をとった時の対応方法も学んでいきます。

④スペシャルタイム
「スペシャルタイム」とは、保護者と二人きりで、子供が好きなことをして遊べる時間のこと。スペシャルタイムの間、遊びの主導権は子どもにあり、保護者は需要的に、非指示的に子どもに関わる。スペシャルタイムは15~20分間が適当で、事前に子供に伝え、親子で時間を決める。

⑤今日の学びと気づき
「25%ルール」という認識は褒める機会を創出するためには非常に効果的だと感じました。「その行動に気付いている事を知らせる」「微笑む」「興味関心を示す」なども、褒めのバリエーションの一つと認識する事も褒めのハードルを下げ、褒めの機会を増やすことにつながると思いました。「褒め=肯定的な注目」という認識は、ADHDの子どもにとってだけでなく、全ての生徒への対応にとっても重要だと感じ、実践していこうと思いました。

参考

こうすればうまくいく発達障害のペアレント・トレーニング実践マニュアル

こうすればうまくいく発達障害のペアレント・トレーニング実践マニュアル

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央法規出版
  • 発売日: 2009/04/01
  • メディア: 単行本



人気ブログランキング
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

セッション1.行動を3種類に分ける(ペアレント・トレーニング) [効果的な声かけ]

ペアレント・トレーニング第1回のテーマは「行動を3種類に分ける」です。

①「注目」の持つパワー
注目には肯定的注目と否定的注目の2種類があり、ピアレント・トレーニングの基底になっているのは肯定的注目を最大限活用すること。肯定的注目は親子間のスムーズな関係をつくるだけでなく、注目され、ほめられる事で、子供は初めて自信を持つ。自分への自信はたくましく立ち直る力を育てる。

好ましい行動をしている時には注目を向けずに、好ましくない行動をしている時には「否定的な注目」を即座に与えている事が圧倒的に多いが、否定的な注目ばかりを与えていると、子供の行動が修正されないばかりか、親子関係が悪くなってしまうという悪循環が起こる。さらに、どうしたら褒められるかわからない子どもは、時として叱られてでも親の注目を得ようとわざと怒られるようなことをしてしまうため、親の叱るといった否定的な注目が、子どもの好ましくない行動を強めている(強化している)といった事が起こってくる。

注目のパワーを利用し、子供が好ましい行動をしている時に肯定的な注目を与え続けることで、子どもの好ましい行動を増やし、好ましくない行動からは注目を取り去る事で不適切な行動を減らしていくことができる。

②行動を3種類に分ける
肯定的注目とは、「褒める」「認める」「笑顔で返す」「興味・関心を示す」「ありがとう・うれしいと言う」など。何を・いつ・どう褒めるかを迷わないために、行動を3種類に分けるという基本となる作業をする。

※行動とは「目に見えるもの」「聞こえるもの」「数えられるもの」で「~しない」という表現ではなく「~する」で表現できる動詞による内容を指す。

1.好ましい・増やしたい行動
こうしてほしい行動ではなく、子供が現在できていて、続けてほしい、増やしたいと思う好ましい行動。
2.好ましくない・減らしたい行動
子どもが今していて、危険ではないが好ましくない行動。
3.危険な行動・許しがたい行動
自他を傷つける行動、破壊的な行動、危険な行動、危険ではないが許しがたい行動、あまりにもしつこい行動。

③セッション1の宿題「子どもの行動を3種類に分ける」
書籍の参考事例ももとにしながら、わたしの息子の場合を事例に整理してみます
(好ましい行動)
・何も言われなくても、自分から起きる
・何も言われなくても、自分から着替える
・何も言われなくても、歯を磨く
・朝ご飯を全部食べる
・「ごちそうさま」を言う
・食器をすぐに片付ける
・決められた時間に家を出る
・離席せずに授業を受ける
・授業のノートを書く
・学校から帰ってすぐに宿題をやる
・学校での出来事を話す
・学校で配られたプリントを自分から見せる
・決められた時間に布団に入る

(好ましくない行動)
・起きてからも毛布にくるまってグズグズする
・朝ご飯を残ず
・宿題が終わっていないのに、終わったと言う
・決められた時間になってもゲームを続ける
・脱いだ洋服を置きっぱなしにする
・勉強をする時間になってもゴロゴロする

(危険な行動・許しがたい行動)
・弟を殴る・ひっかくなど傷つける

④ポイント整理と気づき
現状、否定的な注目を与えている場面が多く、肯定的な注目に切り替えていくためにも、子どもを観察し、好ましい行動をできる限り多く見つけている事が重要だと考えいます。
「勉強しない」「食器を片付けない」「朝起きない」など「~しない」という表現も「行動」ととらえていましたが、「~しない」という表現はせずに、「~しないで何をしているのか?」と考える事で、「~する」という表現に置き換える事ができる事は、些細なようですが、行動変化のために重要な認識だと感じました。

人気ブログランキング
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

集団塾間の競争で勝つために~対面会議からネット会議へ~ [リーダーシップ]

大手学習塾の集団統合で問題となるのは、100前後の教室があり、教室ごとにサービスレベルや人材育成に差ができてしまう事です。

多くの塾が10前後の教室を一つのブロック(エリア)に分け、ブロック長を配置してサービスラインの維持や人材育成に取り組んでいると思います。しかし、この仕組みだと成果を出している人ほど現場(教室)を離れる事が多くなってしまいます。

また、1教室当たり3人~5人の少人数での運営になるので、スタッフ間で意見が食い違った際、顧客目線の本来実践すべき課題や追及よりも、スタッフ間の人間関係の維持が最優先となりがちです。

サービスレベルの上昇や人材育成の面で見たときに、少人数の蛸壺化状態を脱し、社内のネット会議室中心の会議運営に切り替える事が鍵になると考えています。

①少人数での対面会議の問題点
1.人間関係の維持に引きずられ、劣化しやすい
(対面会議中心の場合)
顧客目線の真っ当な指摘であっても、伝え方に気を配らなければ受け入れられず捨象される可能性が高くなります。人数が多ければ、指摘を受けている時の反応など、第三者からの客観的な指摘を重ねる事ができますが、少人数では個人の価値観や好き嫌いが優先される、スタッフの成長スピードも遅くなりがちです。
(ネット会議に切り替えた場合)
教室の課題点やスタッフの課題点も含め、極力すべてをネットに発信する環境が整うことで、育成課題を全スタッフが担う事ができます。また、他教室の先生からの複数のフィードバックを受ける事が可能になり、成長スピードが加速していきます。

2.答えが出せずに劣化した方針に収束する
(対面会議の場合)
会議では、ある課題に対し、なんらかの方針が共有されます。例えば「生徒募集」の課題の場合、少子化や他塾との競争激化の影響で、募集活動に苦労する教室や塾が多くなっていると思います。この状況をどう打破するかは、本来、市場分析や成功事例の分析などをもとに追及し方針を出す必要がありますが、会議に参加する成員の能力や課題意識によっては、単なる思いつきが方針になってしまう事もあり、成果につながらない業務が増えていく危険性があります。
(ネット会議に切り替えた場合)
未明度の高い課題であっても、ぶら下がり意識の高い成員によって場が重くなることがありません。答えを出せる成員中心に議論を活性化させる事ができます。追及過程も言語化された形で残っているため、全成員が納得度と理解度が高い状態で決定方針に向かえる可能性が高くなります。

②ネット会議のメリット
1.統合者の会議負担の軽減
ネット上で追及課題が共有されるため、今までブロックやエリアを統合していた講師の会議負担が減少し、教室運営や生徒対応の余力を生み出せるようになります。

2.答えを出せる・成果を出せるまっとうな序列体制
会議発言がネット上でオープンになる事で、各成員の能力が、皆に鮮明に見える形になります。課題に答えを出せるかどうか?成果を出せるかどうか?が鮮明に見える形になるので、教室長・ブロック長などのヒエラルキーがより実態の能力にあった形に再編成される可能性が高まります。

③ネット会議中心に切り替えたときの課題点
1.会議室投稿と読了が業務を圧迫し、授業準備や生徒接触・保護者接触に支障をきたす
全スタッフにとって会議室投稿が主業務であるという認識と、生徒・保護者対応の時間と切り分けるルール作りが必要だと考えています。

2.会議室投稿と教室運営の実態がずれる(誤魔化し投稿)
会議室での文章と実態がずれる可能性があります。ただし、実態とのずれは教室の成員の誰かが違和感
を感じる可能性が高く、他教室のスタッフと話をする機会などを通じて、ほとんどの問題は浮き彫りになってくるというのが今のところの実感です。

ネット会議室を活性化するためには、「全てをネット」にという明確な方向性の提示と、その方が方針の具体化や人材育成のスピードが速くなるという実感と実態を伴う事が重要です。

多くの会社がネット会議室の設置は当たり前になっていると思いますが、ネット会議室の積極的な活用と活性化が今後の集団塾間の勝敗を分ける一つの要素になるのではないかと考えています。


人気ブログランキング
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

ペアレント・トレーニングに学ぶ声かけ [効果的な声かけ]

ADHD(注意欠陥・多動症/注意欠陥・多動性障害)の子どもの問題行動を改善・修正する手段として、「行動療法」があります。「行動療法」とは社会的な善悪を理解してもらい、ただしい行動ができるように導いていくポピュラーな治療法です。子どもが不適当な行動をしたときには、その都度どうすればよいのかを教え、正しい行動をしたときや物事を成し遂げた時には、精一杯褒めて評価するといった形で、行動の改善・修正を図っていきます。

ADHDの子どもとの関わり方を知る方法として「ピアレント・トレーニング」があります。ピアレント・トレーニング・プログラムの基本理論と枠組みは、マサチューセッツ工科大学のバークレー博士の研究と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のフランク博士の指導のもと、1983年からペアレントトレーニングを実施しているウィッタム女史のプログラムを参考にして国立精神・神経センター精神保健研究所児童・思春期精神保健部のチームによって作成されたプログラム。

このプログラムは、子どもの行動を直すためのものというよりは、親と子どもにわかりやすい具体的で効果的な対応を身につけることで、悪循環を断ち、親と子がともに自己有能感や自尊心を取り戻し、日常生活がより穏やかにおくれるよう親をサポートするためのもの。このプログラムで学ぶ具体的な対応の仕方は子育ての基本でもあり、子どもと大人が効果的なコミュニケーションで信頼関係をつくるための有効な方法でもある。

基本プログラムは10回のセッションから構成されている
①オリエンテーション(子どもの行動を3つに分けてみよう)
②肯定的な注目を与えよう・ほめ方のコツ・スペシャルタイム
③好ましくない行動を減らす①(上手な無視の仕方)
④好ましくない行動を減らす②(無視とほめるの組み合わせ)
⑤子どもの協力を増やす方法①(効果的な指示の出し方①)
⑥子どもの協力を増やす方法②(効果的な指示の出し方②)
⑦子どもの協力を増やす方法③(よりよい行動のためのチャート)
⑧制限を設ける(警告とペナルティーの与え方)
⑨学校・園との連携
⑩これまでのふりかえり

通常、幼児~10歳ぐらいの子どもを持つ保護者対象に5~8人ぐらいで実施するトレーニング。
私の息子(現在小5)もADHDと診断されており、学校と連携をとりながら行動改善に取り組んでいるところです。

今回参考にしている本は、上林靖子氏監修の「発達障害のペアレント・トレーニング実践マニュアル」です。ピアレント・トレーニングを運営する運営者側(リーダー)のための本ではありますが、授業同様、運営者側が最も効果的に技能を習得できると考え、この本をベースに効果的な声かけの技術を学んでいく予定です。

セクションごとに理論と効果的な声かけを身につけ、子どもの変化を報告していく予定です。

参考

こうすればうまくいく発達障害のペアレント・トレーニング実践マニュアル

こうすればうまくいく発達障害のペアレント・トレーニング実践マニュアル

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央法規出版
  • 発売日: 2009/04/01
  • メディア: 単行本



人気ブログランキング

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

今治タオルにみる佐藤可士和氏のブランディング戦略 [マーケティング]

今治市のタオルは1991年をピーク(約5万トン)に、2009年には最盛期の5分の1(約1万トン)まで生産額はおちこんでいました。2006年に四国タオル工業組合(現今治タオル工業組合)の「今治タオルプロジェクト」が「JAPANブランド育成事業」に採択されたことをきっかけに、ブランディングを成功させるプロフェッショナルの存在が不可欠という判断から、佐藤可士和氏に協力を要請。佐藤氏によるブランディングがスタートしました。

①佐藤可士和氏が考えるブランディング
ブランディングとは、クライアントの思いを具現化し、世の中にきちんと伝え、社会の中でより良いポジションを獲得するための方法を考え、実践していくこと。
「本質的価値」×「戦略的イメージコントロール」=「ブランディング」
「いいモノをつくっているだけでは売れない」という現状は、本質をつかみ、ていねいに正しく伝えていくことで「いいモノをつくっているからこそ売れる」という未来に変えることができる。

今治タオルの場合、「本質的価値」のキーファクターは「安心・安全・高品質」。この仮説を確かめるために現地へ行き、タオルメーカー各社の工場を視察したり、製品を見せてもらったり、ものづくりへのこだわりを聞いたり、今治のタオル産業の沿革、これまでの組合の取り組み、今治の土地の風土や歴史など膨大なヒアリングを重ねた。

「なぜ安心なのか」「何が安全なのか」「どこが高品質なのか」明確な根拠が聞き出せれば、仮説は確信に変わっていく。

問題はそこから先。「本質的価値」をどうやって伝えるか。それが「戦略的イメージコントロール」という作業。そのために佐藤氏がタオルメーカの人にした質問が「一番いいタオルはどれですか?」という問い。伝える初期段階ではもっと「わかりやすさ」を優先させるべき。本質的価値をわかりやくす伝えることがディレクションの核心になっている。言いたいことが山ほどある中で、何がその企業や商品にとって本質的価値なのかということを徹底的に検証し、つかみとる。つかんだ本質を研ぎ澄まし、シンプルで明快なコンセプトとしてまとめる。そして、それをもっとも世の中にわかりやすいかたちでプレゼンテーションしていくというのが、ブランド戦略の基本的な流れ。

②今治タオルのロゴマーク誕生の背景
ブランディングの仕事で佐藤氏が最初につくったのは、シンボルとなるロゴマーク。今治タオルというコンテンツを世の中に向けて伝えようとするときに、パッと思い浮かぶビジュアルが何もなかった。コミュニケーションに必要な「アイコン」として、ロゴマークは不可欠だった。

ロゴマークは長く使い続けることを前提に考案しなければならない。強いインパクトだけでなく、「デザインの耐久性」も同時に求められる。そこを満たすためにあらゆる場面を想定したシュミレーションをする。タオルの織りネームになったとき、店舗の看板になったとき、紙に印刷したとき、写真で撮ったとき、モニターやスマートフォンで見たときなど、どんな使われ方をした時でもイメージが変わらないデザインをつくる。また、ロゴマークを作るときには「50年後に見てもおかしくないか?」という事を必ず考える。このロゴマークに行き着くまでにおよそ3ヶ月、300以上の案を考えている。
今治タオルロゴ.png
1.今治タオルを最初から世界に打ち出していく事を念頭に「Imabari towel」と表記
2.モチーフになっているのは今治の美しい自然
白は「空に浮かぶ雲」と「タオルのやさしさ・清潔感」
青は「波光煌く海」と「豊かな水」
赤は「昇りゆく太陽」と「山地の活力」を表している

③わかりやすく伝えるための「白いタオル」戦略
本質的価値である「安心・安全・高品質」を際立たせるために「白いタオル」をキープロダクトに設定。複雑で繊細な柄を表現できる技術が今治タオルの特徴であり、そこを全面的に打ち出したいという意見が現地でのヒアリングではたくさん聞かれたが、ブランディングプロジェクトで伝えようとしているのは「安心・安全・高品質」な「使い心地」。佐藤氏は柄を織る技術にこだわらなくても、今治タオルは勝負できると確信していた。

④佐藤氏の「伝えるため」の準備
今治タオルが全国規模で反響を呼んだのは、2008年8月23日にNHKの「クローズアップ現代」で紹介されたこと。タイトルは「地域再生のヒントを探せ~地場産業復活の条件~」。この番組ではNHK取材班が撮影したものではない映像も使われている。佐藤氏は、プロジェクト当初から、主な動向はできるだけ資料映像として残しておこうと提案。視察や会議、展示会の様子など、もらざすに記録しておいた写真や映像は、NHKに限らずさまざまなメディア取材で多々活用されることになった。「伝えるため」の準備は、後手に回ってしまっては間に合わない。メディアの取材に対して先手を打つことは、たとえ予算が少なくても十分対応できる。

⑤プロジェクトの推進力を生み出すインターナル・マーケティング
佐藤可士和氏のインターナル・マーケティング(組織内部統合・熱醸成)のための取り組みや意識していることは「説得」ではなく、いかにプロジェクトに「共感」してもらえるか。

納得してもらい、自らの意志で動いてもらうためには、ことらの考え方に相手がどれだけ共感できるかが重要になる。これは、佐藤氏がプレゼンテーションする時の原則。テクニックではなく、誠実に向き合って率直に話すこと。佐藤氏が今治のインターナル・マーケティングでもっとも心がけたのは、小手先の応急処置で出血を止めるのではなく、「本質的価値」の力で瀕死の状態から脱却し、産地が一体となって生き残る道を切り拓く意義を伝える事だった。

今日の学び
佐藤氏は、2014年1月に内閣府に設置された「選択する未来」委員会のワーキンググループのメンバーになっているそうです。日本の本質的価値をわかりやすく伝えるためのマスターブランドを国をあげて構築していく必要があるという提言をしているそうです。
(例)
・アメリカ「開拓者精神」「自由」「夢」
・フランス「文化」
・北欧「デザイン」「ヒューマン」
学習塾においても、「いい授業」をしているだけでは、生徒数にはつながりません。「本質的価値」の抽出と「わかりやすく伝播させていく」施策を検討していきます。

参考

今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略

今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略

  • 作者: 佐藤可士和
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2014/11/20
  • メディア: 単行本



人気ブログランキング

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

今治のタオルが有名なのはなんで? [探究心の喚起]

しまなみ海道で有名な愛媛県今治市。今治のタオルは鯖江のメガネフレーム同様、地場産業衰退の危機と戦っています。なぜ今治ではタオルが地場産業として盛んになったのか。また、なぜ生産量が減少し、どのようにこの危機を乗り越えようとしてきたのかを整理します。

①今治でタオルつくりが盛んになったのはなんで?
中国四国地方は、中国山地の北側の山陰。瀬戸内海に面した瀬戸内。四国山地の南側の南四国の三つの地域に分けることができます。今治市が位置しているのは瀬戸内。中国山地と四国山地に挟まれた瀬戸内は夏と冬の季節風が山地に遮られるため、晴天の日が多く、日本の中でも降水量が少ないのが特徴です。この気候に適してたのが綿花の栽培で、江戸時代から綿花の栽培が始まっていた。江戸時代後期には今治藩が伊予木綿(白木綿)を全国に出荷していた。
今治.png

しかし明治以降、大阪や兵庫などで安くて質のいい木綿製品が作られるようになり、今治の繊維産業は衰退。

1886年(明治19年)、今治の繊維産業復活の戦略として矢野七三郎が和歌山で作られていた綿ネル(毛織物に似せた綿織物)に独自の改良を加えて、より丈夫で暖かい「伊予綿ネル」を完成させる。

1894年(明治27年)、阿部平助が4台の織り機を導入してタオル作りを開始。

1910年(明治43年)、麓常三郎(ふもとつねさぶろう)が二挺式(にちょうしき)バッタンと呼ばれる織り機を考案し、同時に2列のタオル生地を織る技術の登場で生産性が格段に向上。

1918年(大正7年)、中村忠左衛門が「織る→晒す→染める」の順番を「晒す→染める→織る」の順の製法に改めた。先に水に晒すことで、やわらかい風合いのタオルに仕上げる事ができる。これは、石鎚山(いしづちさん)に連なる四国山地の山々から、豊富で良質な軟水の伏流水がある事で実現している。
※伏流水
河川敷や山麓(山地と平地との境界部)の下層にある砂礫層を流れている極めて浅い地下水。

その後、1929年(昭和4年)の世界恐慌で繊維業界は大打撃を受け、第二次世界大戦の今治空襲でタオル工場の88%が焼失した。それでも、今治タオルは消滅することなく、1960年(昭和35年)に生産額日本1になった。

②今治タオルの生産額が低下しているのはなんで?
1980年代後半から、安価な外国製品に押され、1991年をピーク(約5万トン)に、2009年には最盛期の5分の1(約1万トン)まで生産額はおちこんでいる。

③今治タオル復興にむけた動き
2001年、安価な外国製品による生産額低下に対する危機感から、経済産業省に対しタオル製品に対する繊維セーフガード発動を要請。しかし、許可が降りないまま2004年調査打ち切り。
※セーフガード
セーフガードとは、特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、かつ、国民経済上緊急の必要性が認められる場合に、損害を回避するための関税の賦課(ふか)又は輸入数量制限を行うもの。

2003年、今治市の補助金2億円を投じて、今治タオル工業組合が銀座に今治タオル専門店をオープン。しかし、補助金の終了と共に3年で閉店。

2006年、中小企業省が手がける「JAPANブランド育成支援事業」に採択され、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏にブランディングを依頼。今治タオルブランドのロゴマークを制定し、一定の基準を満たしたものにロゴの使用を認めた。ロゴマークは「安心・安全・高品質」の保証になるという位置付け。吸水性を保証するためにタオル片を浮かべて5秒以内に沈むかテストする「5秒ルール」などの試験項目がある。

今治タオルロゴ.png

2007年、百貨店やショップなど、小売業の営業や広報担当者をタオルアドバイザーとして育成する目的として、「タオルソムリエ制度」を実施。

2007年、東京伊勢丹新宿店で今治タオル常設販売

2008年1月23日、「クローズアップ現代(NHK)~地域再生のヒントを探せ~地場産業復活の条件」の放映

2008年10月、第一回タオルマイスター叙任式。タオルマイスターは「知識・経験に裏打ちされた最高の技術と技能を身につけ、若手のみならず、中級・上級者の範となるべきもので、地域社会に貢献する人格も備えた者」と定義され、第1回では名匠4名を選出。

2009年9月、フィンランドヘルシンキで開催された見本市「ハビターレ09」に出展

2010年、生産量がプラスに(前年比0.2%)

2010年、組合員が今治タオルブランドを理解するよりどころとして「今治タオルブランドマニュアル」が取りまとめられる。

2012年、今治タオル南青山店オープン

2017年4月、今治タオル本店をリニューアル。今治タオルLABを新設。

佐藤可士和氏中心とした「本質的価値」×「戦略的イメージコントロール」によるブランディングが成功し、「今治タオルを聞いたことがある・聞いたことはあるような気がする」という認知度調査では、2004年の36.6%、2008年の50.2%、2012年の71.0%と上昇が見られている。しかし、今治タオルの生産量は、2010年以降7年間生産量を伸ばしていたものの、2017年に1万1468トンで前年比4.7%減と落ち込んだ。組合員数や従業員数は年々減少しており、適正な生産量を探っているという見方もあるが、今後の新たな展開や動向に注目していきたい。

参考

今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略

今治タオル 奇跡の復活 起死回生のブランド戦略

  • 作者: 佐藤可士和
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2014/11/20
  • メディア: 単行本


・タオルデータ(平成29年統計表)
・「今治タオル」人気が直面する11年目の試練(東洋経済ONLINE)
・衰退一途の今治タオルが息を吹き返した“大事件” (ITmediaビジネス)
・今治市タオルの歴史(TEXPORT今治)
・「今治タオル」復活の立役者が東京進出で目指す「第2フェーズ」 藤高(dmenuニュース)

人気ブログランキング
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

「高速イメージ音読」で思考スピードを上げる [思考力を鍛える]

成果を出すためには、「思考スピード」を上げる事が重要だと考えています。同じ時間勉強しても、思考スピードによって処理できる課題量も変わります。「思考スピード」を上げる方法の一つとして、先生になったつもりで高速で説明する「高速授業」という提案をしていますが、生徒によってはちょっとハードルが高い様子。他に何か効果的な方法はないか探索していると「ハイスピードツイートリーディング」という方法論を見つけました。

ハイスピードツイートリーディングとは、苫米地英人氏の「ほんとうに頭がよくなる速読脳のつくり方」で紹介されている方法論のようです。「文字情報を五感でイメージしながら、高速で音読する」事で思考スピードの上昇につながるとの事。

ハイスピードツイートリーディングの効用は以下
①音読自体が前頭前野を活性化する
②限界を越える速度で何かをする事で、脳の限界速度が向上していく
③言葉を読み上げた瞬間、その意味が脳内でイメージできるようにする

言葉とイメージの繋がりを高速化する事で、思考スピードを上げる事を意図しているようです。

読解力をつけるためには、精読・熟読に可能性がありそうだとも感じているので、高速音読は矛盾しますが、言葉とイメージの繋がりを高速化するトレーニングとしては効果がありそうな気がします。まずは自身が実践して、変化を確認していきます。

参考
・数ある勉強法のなかで唯一、直接的に「脳のスペックを上げる」ことができるのが「音読」!(クリヤマベースボールアカデミー)
・ハイスピードツイート・リーディングで行うこと(苫米地理論の"いろはにほへと")

ほんとうに頭がよくなる「速読脳」のつくり方 (PHP文庫)

ほんとうに頭がよくなる「速読脳」のつくり方 (PHP文庫)

  • 作者: 苫米地 英人
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/09/02
  • メディア: 文庫



人気ブログランキング

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

大手塾の組織体制をどうする? [マーケティング]

少子化が進み、競争が激化する学習塾業界。生徒数の落ち込みを新教室展開でカバーするものの、「講師=商品」という性質上、その拡大ペースにも限界があります。

森岡毅氏の著書「マーケティングとは「組織革命」である」を参考に、勝つ学習塾にするためのマーケティングと組織体制について検討していきます。

森岡氏の提言でまず目を惹くのが次の記述です。
「策を立てるよりも実行に移す方が100倍難しい」
「実行できる組織をつくる」
「組織とは一人一人の能力を引き上げる装置」
「マーケティングとは経営資源を消費者のプレファレンスに集中する能力」
※「プレファレンス(Preference)」消費者のブランド選択における相対的な好意度
「マーケティングとは会社を市場にフィットさせ、消費者の頭の中に”選ばれる必然”を構築し、売上を中長期的に獲得できるようにすること」

一般的な学習塾では、スタッフ<校舎長<地域責任者<全体統括者といった序列で教室を統合し、一方で広報・教材・研修などの間接部門があるのが一般的だと思います。教室スタッフが最も顧客に近く、かつ「講師=商品」という性質から考えると、「講師一人一人がマーケターの素養を持つ事」が最強の組織を構築する第一歩だと思います。

また、能力が高い講師ほど、全体統括としての役割を担い、現場を離れていく傾向がありますが、ネットでの組織統合がうまく機能するのであれば、序列を廃し、できる限り優秀な人材を教室に配置し続ける事が、プレファレンスを高める手法の共有と、一人一人の能力上昇に繋がるのではないかと考えています。

引き続き、勝つ学習塾の組織体制について追求していきます。

【参考】
href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822257959/sonet0f-22/ref=nosim" target="_blank">マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド

マーケティングとは「組織革命」である。 個人も会社も劇的に成長する森岡メソッド

  • 作者: 森岡 毅
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2018/05/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



人気ブログランキング

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

福井県鯖江市でメガネフレームづくりが盛んなのはなんで? [探究心の喚起]

中学生の地理の教科書で、地場産業の事例として福井県鯖江市のメガネフレームづくりが紹介されています。国内生産の約9割を占めるまで成長している鯖江市のメガネフレーム作り。なぜ鯖江市でメガネフレームづくりが盛んになったのかを調べてみました。

①鯖江市でメガネフレーム作りが盛んになったのは何で?
福井県は、中部地方の中で日本海側に位置し、北陸地域に相当します。日本海側の気候は冬に雪が多いという特色があります。これは、冬に大陸から吹いてくる北西の季節風が日本海を渡るときに水分を含んで雲をつくり、山地にぶつかって雪を降らせるためです。
中部近畿.png

鯖江市が眼鏡フレームの産地として栄える礎を築いたのが、増永五左衛門です。五左衛門は1871年(明治4年)、現在の福井市生野町(しょうのちょう)に生まれ、28才の時に生野の村会議員になりました。生野は冬には豪雪で埋もれ、家に閉じこもる毎日が続く貧しい村でした。「生野のくらしをなんとかよくできないか」と考えた五左衛門が出した答えが、メガネフレームづくりでした。五左衛門がメガネフレームづくりに注目したのは、次のような理由からのようです。
・少ない初期投資で現金収入が得られる事業。
・家の中で作業できて収入が得られる事業。
・文明開化で新聞などの活字文化が庶民に広がっていた事から、近い将来メガネが必需品になると予測していたから。
このような地域の特性と五左衛門の先見性を土台として、1905年(明治38年)に生野村でメガネづくりがはじまり、近隣の鯖江へと広がっていたそうです。

メガネ作りはゼロからのスタートで、大阪から職人を招き、若者を弟子として製造技術を習得させました。「仕事は人である、人を作るには教育」という信念のもと、工場の二階には学校も開いていたそうです。また、「帳場」と呼ばれる工程ごとに細分化された職人グループを設け、分業独立と技術向上を目指しました。このように、専門分野に特化して技を磨く事ができる環境と、忍耐力を要する細かい作業を丁寧に根気強くこなせる県民性が、鯖江のメガネの品質を引き上げ、1935年(昭和10年)には、全国1のメガネ生産量を誇るまでになりました。

その後、戦後の高度経済成長の中でメガネの需要が急増。製造自動化による生産効率のアップと品質向上と技術開発に注力し、鯖江のメガネは海外の一流ブランドからの製造依頼も増えていきました。1981年(昭和56年)には、世界初のチタン金属を用いたメガネフレームの製造技術の確立に成功し、鯖江のメガネが世界に知られるきっかけになりました。

②鯖江のメガネの出荷額が落ち込んでいるのは何で?
しかし、1992年(平成4年)をピークに出荷額が落ち込んでいきます。1992年に約1200億円あった出荷額が、2014年(平成26年)には約600億円と半減。原因は中国メーカーの低価格フレームの流入と、国内における格安メガネ店の増加が考えられます。

③出荷額の落ち込みにどう対応する?
2000年以降、鯖江市は事業者と一体となり、「鯖江ブランド」を打ち出し、製造だけでなくプロモーションや販売も手がける戦略に方向転換しているそうです。鯖江市と地域事業者の取り組みを整理します。
・2003年、20社以上が加盟する産地統一ブランド「THE291(ザ・フクイ)」創設。
・2007年、鯖江市環境部商工政策課がウェブマガジン「鯖江メガネファクトリー」を配信。メガネを身近に感じてもらえるよう、メガネ職人やメガネの製造技術などを取り上げ発信している。
・2008年、東京南青山に、鯖江市が直営するメガネショールーム「GLASS GALLERY291」をオープン。
・2009年、東京ガールズコレクション出展。ブランドデザイナーとコラボしたファンショングラスを「産地鯖江」の特別ステージとして発表。
・2010年、鯖江市のシンボルタワー「メガネ会館」内に「めがねミュージアム」オープン。最新モデルが購入できるショップ、めがねフレームづくりを体験できる体験工房、めがねの歴史を学べるめがね博物館によって構成されている。

また、調べた限りでは「JINS」や「ZOFF」「眼鏡市場」などでもプレミアムモデルとして鯖江のメガネフレームを販売しているようで、官民一体となって生き残りをかけた戦いをしている様子が伺えます。このような取り組みを通じて、近年「出荷額全体」あるいは「一人あたりの出荷額」が増加傾向にあるというデータもありました。今後も地場産業をどう活性化させるかの事例として注目していきたいと思います。

参考
「眼鏡と希望-縮小する鯖江のダイナミックス-」
福井・鯖江めがね 総合案内サイト
メガネの聖地「鯖江」ちょっと意外な誕生秘話と戦略
眼鏡産地の盛衰 -福井県・鯖江市とイタリア・ベッルーノ産地比較のケース-
鯖江眼鏡産地の現状と変化の方向性
GLASS GALLERY291

人気ブログランキング
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

知能を鍛えるルーブリックver1.1 [知能を鍛えるルーブリック]

獲得目標を明確にし、より自己評価・講師評価をしやすいように改変。
1-2.png

人気ブログランキング
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。