読解力を鍛える「思考の可視化」 [読解問題を解けるようにするにはどうすればいい?]
2020年の大学入試改革を待たずして、公立高校の入試問題も5教科全てにおいて問題文を正確に読み取る読解力の重要性が増しています。読解力を育成する一つの手段として「5分間作文」を実施していますが、国語の授業でも読解力を引き上げるための指導方法を確立したいと考えています。
現在可能性を感じている指導方法が「思考の可視化」という方法論です。先日、記述問題を解き終えた生徒に、どのようにして解答に至ったのかを記述してもらいました。日本語の特徴に関する文章を読んで、同音異義語が多い日本語の長所と短所を記述する問題でしたが、生徒の答えへのアプローチはさまざまでした。
①「同音異義語」というキーワードを元に本文を読み直す生徒
②「長所」「短所」という言葉をもとに、肯定的表現と否定的表現を探す生徒。
③英語の事例も本文にある事に注目し、「日本語」と「英語」の対比に注目する生徒
同じ問題でも、頭の使い方が全く違う事に驚くとともに、講師が今まで伝えていた解法が全く定着していないことも浮き彫りになりました。
この、「思考の可視化」と、「他の生徒や先生の思考過程の共有」は、読解問題の正解率を上げるための方法論として効果的なのではないかと考えています。
明確な方法論として形にするために、「思考の可視化」に関する先行事例を調査します。
【読解力を鍛えるための「思考の可視化」先行事例】
・複雑な文章を読解する方法(テクニカルライティング教室)
・「読解力育成のための教育実践とその評価」秋田喜代美(東京大学)
・可視化から自律的学習態度の獲得を目指す読解指導
・思考ツールを用いて文章の論理構造を可視化し,読む力を育む国語科授業の創造
・教科指導等を通じたPISA型「読解力」の育成に関する研究
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現在可能性を感じている指導方法が「思考の可視化」という方法論です。先日、記述問題を解き終えた生徒に、どのようにして解答に至ったのかを記述してもらいました。日本語の特徴に関する文章を読んで、同音異義語が多い日本語の長所と短所を記述する問題でしたが、生徒の答えへのアプローチはさまざまでした。
①「同音異義語」というキーワードを元に本文を読み直す生徒
②「長所」「短所」という言葉をもとに、肯定的表現と否定的表現を探す生徒。
③英語の事例も本文にある事に注目し、「日本語」と「英語」の対比に注目する生徒
同じ問題でも、頭の使い方が全く違う事に驚くとともに、講師が今まで伝えていた解法が全く定着していないことも浮き彫りになりました。
この、「思考の可視化」と、「他の生徒や先生の思考過程の共有」は、読解問題の正解率を上げるための方法論として効果的なのではないかと考えています。
明確な方法論として形にするために、「思考の可視化」に関する先行事例を調査します。
【読解力を鍛えるための「思考の可視化」先行事例】
・複雑な文章を読解する方法(テクニカルライティング教室)
・「読解力育成のための教育実践とその評価」秋田喜代美(東京大学)
・可視化から自律的学習態度の獲得を目指す読解指導
・思考ツールを用いて文章の論理構造を可視化し,読む力を育む国語科授業の創造
・教科指導等を通じたPISA型「読解力」の育成に関する研究
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読解問題を解けるようにするための技術 [読解問題を解けるようにするにはどうすればいい?]
引き続き、福嶋隆史氏の「難関校に合格する子の「国語読解力」」から、「読解問題を解く技術」を中心に整理していきます。
①長文読解の設問の分類
1.言いかえる問題「どういう事ですか?」
2.くらべる問題「どう違うのですか?」
3.たどる問題「なぜですか?」
※設問文を読解して、「何を問う問題か?」「どう答える問題か」を正確に掴む
②「筆者が言いたいこと」を掴むために「定義」を四角で囲む
1.主語タイプの定義「AとはBである。」「AというものはBである」
2.述語タイプの定義「B。それがAである。」
※「定義の文」とは、テーマであるAの意味を、書き手が定める文
③対比の文章は問題用紙の余白にメモを
④「なぜ?」と理由を問われたらまず接続語を探す
・接続語とは前後の関係性を表す言葉。接続詞・副詞「つまり・いわば」・助詞「から・ので」など。
・接続語は丸で囲む(逆接は△などと指導する人もいるが、見づらいので全て丸)
・隠れた接続語にマークをする事が重要
「抽象化のはたらき」という・といった・などの・などといった
「対比のはたらき」でななく・ではない
「なんらかの関係を強調」のだ・のである・のです・わけだ・わけである・わけです
⑤接続語挿入問題は、前後の文を要約
・前後の文を要約して「同等関係」「対比関係」「因果関係」といった関係を見抜く
⑥抜き出し問題は「最後の一言を決めて、後ろから数える」
⑦選択肢問題は本文の言いかえ⇒パーツに区切ってチェックする
⑧記述式問題は、型を身につける
・「どういうことですか?」
Aとは、Bであり、Cであるということ
・「どう違うのですか?」
~は、~という点ではAだが、~という点ではBである
・「なぜですか?」
~は、Aであり、それによってBだから
【実践方針】
・書くトレーニングによる論理的思考力の教科+読解問題を解く技術を伝えて、読解問題の正解率上昇を目指します。
・読解問題を解く技術は、生徒が使いこなせるレベルのシンプルさと、成果につながるものを厳選する必要があると思います。「定義は四角・接続後は丸」「対比はメモ」「挿入問題は前後を要約」など、短い言葉で、武器として使えるようトレーニングしていきます
【参考】
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①長文読解の設問の分類
1.言いかえる問題「どういう事ですか?」
2.くらべる問題「どう違うのですか?」
3.たどる問題「なぜですか?」
※設問文を読解して、「何を問う問題か?」「どう答える問題か」を正確に掴む
②「筆者が言いたいこと」を掴むために「定義」を四角で囲む
1.主語タイプの定義「AとはBである。」「AというものはBである」
2.述語タイプの定義「B。それがAである。」
※「定義の文」とは、テーマであるAの意味を、書き手が定める文
③対比の文章は問題用紙の余白にメモを
④「なぜ?」と理由を問われたらまず接続語を探す
・接続語とは前後の関係性を表す言葉。接続詞・副詞「つまり・いわば」・助詞「から・ので」など。
・接続語は丸で囲む(逆接は△などと指導する人もいるが、見づらいので全て丸)
・隠れた接続語にマークをする事が重要
「抽象化のはたらき」という・といった・などの・などといった
「対比のはたらき」でななく・ではない
「なんらかの関係を強調」のだ・のである・のです・わけだ・わけである・わけです
⑤接続語挿入問題は、前後の文を要約
・前後の文を要約して「同等関係」「対比関係」「因果関係」といった関係を見抜く
⑥抜き出し問題は「最後の一言を決めて、後ろから数える」
⑦選択肢問題は本文の言いかえ⇒パーツに区切ってチェックする
⑧記述式問題は、型を身につける
・「どういうことですか?」
Aとは、Bであり、Cであるということ
・「どう違うのですか?」
~は、~という点ではAだが、~という点ではBである
・「なぜですか?」
~は、Aであり、それによってBだから
【実践方針】
・書くトレーニングによる論理的思考力の教科+読解問題を解く技術を伝えて、読解問題の正解率上昇を目指します。
・読解問題を解く技術は、生徒が使いこなせるレベルのシンプルさと、成果につながるものを厳選する必要があると思います。「定義は四角・接続後は丸」「対比はメモ」「挿入問題は前後を要約」など、短い言葉で、武器として使えるようトレーニングしていきます
【参考】
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書く力を鍛えるための習慣 [読解問題を解けるようにするにはどうすればいい?]
引き続き、福嶋隆史氏の「難関校に合格する子の「国語読解力」」から、読解問題を解けるようにするための具体的な実践を紹介します。
読解力をつけるためには、「書く力」をつける事が重要。という事で、「書く力」を鍛えるための10の習慣が紹介されています。その中でも、すぐに実践に取り入れたいと思った事例を紹介します。
①教科書を使って行う書きの体力測定
ある文章を2回ほど音読した上で、生徒に視写をさせる。
(例)海の中や宇宙空間には、未知の世界が果てしなく広がっている。
大事なのは、子どもの目の動きを観察する事。途中で何回お手本を見たかが重要。
言葉をかたまりで見ることができる子は、「海の中や宇宙空間には」という部分を一度に頭に入れて、後はお手本をみずに書く。言葉をかたまりでとらえられない子は「海の中/や/宇宙/空間には」などと、細切れにしながら書き写す。つまり字面しか追っていない。
こういった子どもは、言葉をかたまりでとらえることが「できない」のではなく、かたまりでとらえようと「していない」だけ。
解決策としては「お手本を見る回数を減らしてごらん。回数によってランクをつけるよ」などとゲーム化する事で改善する事が多い。
また、小学生の学年別の1分間の視写速度は以下
(1・2年生)15字前後
(3・4年生)20字前後
(5・6年生)25字前後
②「つまり」「たとえば」「なぜ?」を口癖に
「つまり」「たとえば」で具体化と抽象化のトレーニング。「なぜ?」で因果関係をたどるトレーニング。
③「原稿ノート」で字数感覚を身につける
ライフ株式会社の「原稿ノート」は見開きで400字の原稿用紙になる。原稿ノートを使う事で字数感覚が身につく。また、罫線ノートだと句読点が雑になる事があるが、原稿ノートだと、1マス1字なので、はっきりと句読点をつける意識が生まれる。
【実践方針】
・板書を写す時の生徒の視線の行き来の回数が気になっていましたが、やはり確認する回数が少ない生徒の方が学力が高い印象があります。板書を確認する回数が多い生徒は、字面を追うだけになっている可能性が高いと考えれれます。板書をノートに写す際の確認回数を少なく、かつスピードを上げられるよう、ゲーム化を取り入れながら文をかたまりでつかむ力を鍛えていきます。
・「つまり?」「たとえば?」「なぜ?」の発問を「抽象化」「具体化」「因果関係をたどる」という明確な目的意識を持って行う。
・いきなり原稿ノートに切り替えるのは難しいが、毎回の授業後に記入してもらっている、その日の振り返りシートの書式を、罫線からマス目に変え、字数感覚と句読点に対する意識を高めていく。
【課題】
・書く力をつけるためには、生徒の書いたものを確認・添削する事が効果的だと感じています。集団授業の中で、その時間を確保するためにはどんな工夫ができるのか?あるいは、添削をしなくても、書く力を高める事ができるのか?を追求していきます。
【参考】
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読解力をつけるためには、「書く力」をつける事が重要。という事で、「書く力」を鍛えるための10の習慣が紹介されています。その中でも、すぐに実践に取り入れたいと思った事例を紹介します。
①教科書を使って行う書きの体力測定
ある文章を2回ほど音読した上で、生徒に視写をさせる。
(例)海の中や宇宙空間には、未知の世界が果てしなく広がっている。
大事なのは、子どもの目の動きを観察する事。途中で何回お手本を見たかが重要。
言葉をかたまりで見ることができる子は、「海の中や宇宙空間には」という部分を一度に頭に入れて、後はお手本をみずに書く。言葉をかたまりでとらえられない子は「海の中/や/宇宙/空間には」などと、細切れにしながら書き写す。つまり字面しか追っていない。
こういった子どもは、言葉をかたまりでとらえることが「できない」のではなく、かたまりでとらえようと「していない」だけ。
解決策としては「お手本を見る回数を減らしてごらん。回数によってランクをつけるよ」などとゲーム化する事で改善する事が多い。
また、小学生の学年別の1分間の視写速度は以下
(1・2年生)15字前後
(3・4年生)20字前後
(5・6年生)25字前後
②「つまり」「たとえば」「なぜ?」を口癖に
「つまり」「たとえば」で具体化と抽象化のトレーニング。「なぜ?」で因果関係をたどるトレーニング。
③「原稿ノート」で字数感覚を身につける
ライフ株式会社の「原稿ノート」は見開きで400字の原稿用紙になる。原稿ノートを使う事で字数感覚が身につく。また、罫線ノートだと句読点が雑になる事があるが、原稿ノートだと、1マス1字なので、はっきりと句読点をつける意識が生まれる。
価格:324円 |
【実践方針】
・板書を写す時の生徒の視線の行き来の回数が気になっていましたが、やはり確認する回数が少ない生徒の方が学力が高い印象があります。板書を確認する回数が多い生徒は、字面を追うだけになっている可能性が高いと考えれれます。板書をノートに写す際の確認回数を少なく、かつスピードを上げられるよう、ゲーム化を取り入れながら文をかたまりでつかむ力を鍛えていきます。
・「つまり?」「たとえば?」「なぜ?」の発問を「抽象化」「具体化」「因果関係をたどる」という明確な目的意識を持って行う。
・いきなり原稿ノートに切り替えるのは難しいが、毎回の授業後に記入してもらっている、その日の振り返りシートの書式を、罫線からマス目に変え、字数感覚と句読点に対する意識を高めていく。
【課題】
・書く力をつけるためには、生徒の書いたものを確認・添削する事が効果的だと感じています。集団授業の中で、その時間を確保するためにはどんな工夫ができるのか?あるいは、添削をしなくても、書く力を高める事ができるのか?を追求していきます。
【参考】
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難関校に合格する子の国語読解力(福嶋隆史氏)より [読解問題を解けるようにするにはどうすればいい?]
漢字や文法などの知識問題は正解できるのに、読解問題の正解率が安定しないので成績が不安定な生徒はとても多いです。読解問題に正解できるようにするために、「正解の根拠の解説」や「線引き等の技術」を指導している塾が大半だと思いますが、「本当に自分の力で正解する力が身についているのか?」と問われると疑問が生じます。読解問題で安定して正解を出す力をつけるためには、どのような指導・トレーニングが効果的なのかを追求していきます。
【難関校に合格する子の「国語読解力」(福嶋隆史氏)」
・国語力があるとは
①相手の言葉を整理して受信できる(=聞く力・読む力がある)
②自分の言葉を整理して発信できる(=話す力・書く力がある)
・国語力の構造
①論理的思考力
1.「言いかえる力」(同等関係(具体・抽象)を整理する力)
2.「くらべる力」(対比関係を整理する力)
3.「たどる力」(因果関係を整理する力)
②語彙力(言葉の知識)
③書字力・音読力(速度など)
・読解力とは何か?
①受信した内容を頭で整理し
②出題者にわかりやすい形に再度整理して発信
・試験で勝利したければ、「発信力」=「アウトプット力」=「書く力」を磨く以外に手はない。
・自分の身近にあることがらを自分自身で文章化できないうちに、他人が書いたハイレベルな文章などできるはずがない。
・書き方を限定する事で技術を体得できる。
【実践方針】
福嶋氏は、国語力・読解力という曖昧な力を、明確に分解し、トレーニング方法まで含めて技術として習得できる指導を実践しています。他教科もそうですが、「単に問題を解いて、その解説」という流れでは、自分で抽象化できる生徒は、他の問題にも応用できますが、その力がない生徒にとってはちょっと形が変わっただけで全くお手上げという事態になってしまいます。
福嶋氏の指導を参考にしながら、「言いかえる力」「くらべる力」「たどる力」をつける、制限を加えた書く指導を実践していきます。
【参考】
横浜国語研究所HP
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【難関校に合格する子の「国語読解力」(福嶋隆史氏)」
・国語力があるとは
①相手の言葉を整理して受信できる(=聞く力・読む力がある)
②自分の言葉を整理して発信できる(=話す力・書く力がある)
・国語力の構造
①論理的思考力
1.「言いかえる力」(同等関係(具体・抽象)を整理する力)
2.「くらべる力」(対比関係を整理する力)
3.「たどる力」(因果関係を整理する力)
②語彙力(言葉の知識)
③書字力・音読力(速度など)
・読解力とは何か?
①受信した内容を頭で整理し
②出題者にわかりやすい形に再度整理して発信
・試験で勝利したければ、「発信力」=「アウトプット力」=「書く力」を磨く以外に手はない。
・自分の身近にあることがらを自分自身で文章化できないうちに、他人が書いたハイレベルな文章などできるはずがない。
・書き方を限定する事で技術を体得できる。
【実践方針】
福嶋氏は、国語力・読解力という曖昧な力を、明確に分解し、トレーニング方法まで含めて技術として習得できる指導を実践しています。他教科もそうですが、「単に問題を解いて、その解説」という流れでは、自分で抽象化できる生徒は、他の問題にも応用できますが、その力がない生徒にとってはちょっと形が変わっただけで全くお手上げという事態になってしまいます。
福嶋氏の指導を参考にしながら、「言いかえる力」「くらべる力」「たどる力」をつける、制限を加えた書く指導を実践していきます。
【参考】
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