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福井県鯖江市でメガネフレームづくりが盛んなのはなんで? [探究心の喚起]

中学生の地理の教科書で、地場産業の事例として福井県鯖江市のメガネフレームづくりが紹介されています。国内生産の約9割を占めるまで成長している鯖江市のメガネフレーム作り。なぜ鯖江市でメガネフレームづくりが盛んになったのかを調べてみました。

①鯖江市でメガネフレーム作りが盛んになったのは何で?
福井県は、中部地方の中で日本海側に位置し、北陸地域に相当します。日本海側の気候は冬に雪が多いという特色があります。これは、冬に大陸から吹いてくる北西の季節風が日本海を渡るときに水分を含んで雲をつくり、山地にぶつかって雪を降らせるためです。
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鯖江市が眼鏡フレームの産地として栄える礎を築いたのが、増永五左衛門です。五左衛門は1871年(明治4年)、現在の福井市生野町(しょうのちょう)に生まれ、28才の時に生野の村会議員になりました。生野は冬には豪雪で埋もれ、家に閉じこもる毎日が続く貧しい村でした。「生野のくらしをなんとかよくできないか」と考えた五左衛門が出した答えが、メガネフレームづくりでした。五左衛門がメガネフレームづくりに注目したのは、次のような理由からのようです。
・少ない初期投資で現金収入が得られる事業。
・家の中で作業できて収入が得られる事業。
・文明開化で新聞などの活字文化が庶民に広がっていた事から、近い将来メガネが必需品になると予測していたから。
このような地域の特性と五左衛門の先見性を土台として、1905年(明治38年)に生野村でメガネづくりがはじまり、近隣の鯖江へと広がっていたそうです。

メガネ作りはゼロからのスタートで、大阪から職人を招き、若者を弟子として製造技術を習得させました。「仕事は人である、人を作るには教育」という信念のもと、工場の二階には学校も開いていたそうです。また、「帳場」と呼ばれる工程ごとに細分化された職人グループを設け、分業独立と技術向上を目指しました。このように、専門分野に特化して技を磨く事ができる環境と、忍耐力を要する細かい作業を丁寧に根気強くこなせる県民性が、鯖江のメガネの品質を引き上げ、1935年(昭和10年)には、全国1のメガネ生産量を誇るまでになりました。

その後、戦後の高度経済成長の中でメガネの需要が急増。製造自動化による生産効率のアップと品質向上と技術開発に注力し、鯖江のメガネは海外の一流ブランドからの製造依頼も増えていきました。1981年(昭和56年)には、世界初のチタン金属を用いたメガネフレームの製造技術の確立に成功し、鯖江のメガネが世界に知られるきっかけになりました。

②鯖江のメガネの出荷額が落ち込んでいるのは何で?
しかし、1992年(平成4年)をピークに出荷額が落ち込んでいきます。1992年に約1200億円あった出荷額が、2014年(平成26年)には約600億円と半減。原因は中国メーカーの低価格フレームの流入と、国内における格安メガネ店の増加が考えられます。

③出荷額の落ち込みにどう対応する?
2000年以降、鯖江市は事業者と一体となり、「鯖江ブランド」を打ち出し、製造だけでなくプロモーションや販売も手がける戦略に方向転換しているそうです。鯖江市と地域事業者の取り組みを整理します。
・2003年、20社以上が加盟する産地統一ブランド「THE291(ザ・フクイ)」創設。
・2007年、鯖江市環境部商工政策課がウェブマガジン「鯖江メガネファクトリー」を配信。メガネを身近に感じてもらえるよう、メガネ職人やメガネの製造技術などを取り上げ発信している。
・2008年、東京南青山に、鯖江市が直営するメガネショールーム「GLASS GALLERY291」をオープン。
・2009年、東京ガールズコレクション出展。ブランドデザイナーとコラボしたファンショングラスを「産地鯖江」の特別ステージとして発表。
・2010年、鯖江市のシンボルタワー「メガネ会館」内に「めがねミュージアム」オープン。最新モデルが購入できるショップ、めがねフレームづくりを体験できる体験工房、めがねの歴史を学べるめがね博物館によって構成されている。

また、調べた限りでは「JINS」や「ZOFF」「眼鏡市場」などでもプレミアムモデルとして鯖江のメガネフレームを販売しているようで、官民一体となって生き残りをかけた戦いをしている様子が伺えます。このような取り組みを通じて、近年「出荷額全体」あるいは「一人あたりの出荷額」が増加傾向にあるというデータもありました。今後も地場産業をどう活性化させるかの事例として注目していきたいと思います。

参考
「眼鏡と希望-縮小する鯖江のダイナミックス-」
福井・鯖江めがね 総合案内サイト
メガネの聖地「鯖江」ちょっと意外な誕生秘話と戦略
眼鏡産地の盛衰 -福井県・鯖江市とイタリア・ベッルーノ産地比較のケース-
鯖江眼鏡産地の現状と変化の方向性
GLASS GALLERY291

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