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塾需要はどうなる~成果を出せる指導者がいるかどうかが問われる時代に~ [マーケティング]

学習塾・予備校市場規模はここ数年ほぼ横ばいの状況のようですが、今後の少子化の進行を考えると厳しい競争になっていく事は明らかです。

個別指導塾の市場規模が微増傾向、アダプティブラーニングなどEdTechの市場規模の拡大も見られるようですが、個別やアダプティブラーニング以上に集団塾に可能性があるのではないかと感じています。今後激化する塾業界の中で勝ち抜く条件を検討していきます。

【幻想価値では集客できない】
今までの塾需要の中心は「不安解消期待」。各事業者が「実績や成績上昇」などの「幻想期待」を振りかざして集客。「合格できるか不安」「このままの成績では不安」といった不安に対し、幻想を抱かせて需要を取り込んできた。各事業者が実績をアピールするのも、「幻想期待」を抱かせた事業者が集客に成功するから。

ただし、10年ほど前から「実績」が引力にならなくなってきた。「学歴」の引力が弱まってきた事や、「実績」という「幻想価値」よりも、「自分の子どもの面倒を見て欲しい」という「面倒見期待」が高まってきた事が原因と考えられる。これが、実績で優る集団塾よりも、個別指導塾が生徒数を伸ばしている要因にもなっている。

しかし、「個別であれば面倒を見てもらえる」「個別に見てもらえば成績が上がる」という「面倒見期待」も「幻想価値」でしかない。実際、面倒見を売りにしている個別塾は、現状市場規模を拡大しているが、実態としては成績を上げられず、月の退塾率は集団塾を大きく上回っている。

ネットでの口コミが当たり前になっている現在、「幻想価値」では商売にならず、もはや幻想を抱かせる事もできない。消費者は「実質価値(本当に成果を出してくれる塾・講師)」を求めており、実質価値は口コミや実際の通塾を通じて容易に見抜くことができ、幻想価値で繋ぎ止める事はできない。「幻想価値」を拠り所にしたマーケティングとセールスでは集客する事ができず、やがて衰退する。

【成績を上げる指導者がいるかどうかが勝負】
個別指導のアルバイト講師では指導力に差があり、成果が出ないと仮説を立てたが、知り合いの個別指導の校舎長に話を聞くと、担当する生徒(約75名)全員の成績を上げる事ができると断言した。彼によると、小テストで気になる結果の生徒はすぐに生徒と指導講師に声をかけ、課題指示とやり切り指導を徹底しているそうだ。また、映像授業の教室でも、担任制度によって、生徒状況の把握と課題指示を通じて成果を出している教室があるそうだ。個別も映像授業の教室も、校舎長や担当講師の力量によって生徒の成果に差が出ているようである。

ここから判断できる事は、同じ塾でも成果が出る教室と出ない教室に分かれる事。「成果を出せる講師がいる塾」である事が、今後の募集活動では極めて重要(幻想価値で引っ張る事はできない)。事業者によって当然異なるが、個別では社員一人あたり100名の生徒を管理し、直接指導する生徒数は少ない。集団塾では社員一人あたり約60人の生徒を管理し、直接指導もできる。講師の課題指示、勉強法(方法論)精度、徹底する指導力によって成果が分かれる。

現段階では、「直接指導」と「担当生徒数」という点で、集団塾の方が成績を上げられる可能性が高いのではないかと判断する。

なお、アダプティブラーニングの弱点は、次々と問題が与えられるが「自分の頭で知識を再構成する手順を挟まないこと」「説明するという段階を踏まない事」から、一部の生徒を除き、長期記憶や実力養成という点で、直接指導の方が成果につながりやすいのではないかと判断する。

参考
塾需要はどうなる?~情報集約~
アダプティブラーニングが思っていた以上に進化していた


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