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理解を深める教育の条件 [理解するってどういう事?]

2006年のハワード・ガードナー教授の講演に関する上條雅雄氏(日本MI研究会 会長)のレポートから、理解を深める教育の条件について整理します。

①理解を深めるための条件
「理解する事」は「実践する事」であり、「理解の実践」は「理解の不足分」も露出する。

学問分野で、その理解を深めるためには、次の3点が重要
1.その領域で「何が本当に重要か」を決める
2.この課題に「時間をかける事」を決める
3.人がMI(Multiple Intelligence)を持っている利点を有効活用する
※MIは、ガードナー教授が提唱する「多重知能」という認識、別途記事にする予定

子ども達の理解を深めるためには、子どもは初期の段階から、自ら作り上げたパワフルな世界観を持っているという認識を持つ事が必要。そのうえで、以下の2つの事をしなければならない。
1.考え方の不十分、不適切な点を見出し
2.事実を示し、整理してあげる
「理解の仕方」をしっていれば、各課題に対して、より深く考えることができ、どんな学問でも今まで浮動していたバラバラな知識がまとまりを持つようになる(構成主義のアプローチが効果的)。

※構成主義
白紙の状態に新しい知識が書き込まれる事はめったにない。なんらかの事前の知識や理解に付け加えられる形で、あるいはそれが変化するという形でしか学習はおこらない。さらに、このような変化が起こったとき、理解した内容は長時間に渡って保持される。講師は新しい知識を伝達する際、学習者の持っている文脈につなげる事が大切である。

②基本的な理解は「真・善・美」
永年に渡り、教育者が重要視している理解は次の3つ。
1.真(何が正しくて、何が偽りか)
 科学・数学・歴史・民族知識
2.善(何が不正で、それはなぜか)
 モラル面での知識と行動
3.美(何が美しく、それはなぜか)
 芸術・自然の鑑賞や制作、生産

③理解を深める教育の条件
ガードナー教授が提示する、理解を深める教育の4つの条件
1.コース終了後に「何を理解して欲しいか」
2.目標を達成できたかを確かめる「理解の実践」
3.学生に興味を持たせ、理解を深めさせるトピック
4.継続的な評価(学生同士・教師による評価)

従来型の教育の目的は「知識・スキル」を教えることであり、その評価方法は短答式テストで評価すること。

新しい教育の目的は「深い理解」。その評価方法は、パフォーマンス(実践)ベースで評価すること。

ガードナー教授の7つの提案
1.「理解」が教育の主たる目的でなければならない。
2.「理解」は頭の中で起こるが、公で「実践」しなければなならい。
3.そのためには、よい教育が必要である。
4.学問分野の理解とは、持っている知識を新たな状況下で使う事である。
5.学際的な理解(いくつかの学問分野にまたがった理解)は、今日の世の中では必要不可欠である。
6.創造性は特別な種類の理解。今まで理解し得なかったことを実現すること。
7.自動化が進んだ時に生き残れる人は理解できる人たちであり、その理解を他人に伝えられる人である。

今日の学び
①子ども達には、「学ぶ価値」とそこに「時間をかける意思」を問いかけたい。中2以下は、「学ぶ価値」を見出した好きな科目を、時間をかけて徹底的に探求する事を勧めていきたい。

②「知識とスキルの効率的な習得」「理解の実践」を塾教育の中でどのように実現できるかを継続して追求していく。

③テストの点では捉えきれない「理解」の評価方法を検討していく。

参考
Professor Howard Gardner Japan Lectures 2006

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